総額でとらえた人件費の額を決める仕組みである

 総額人件費管理は、総額人件費の額(パイの大きさ)を決める仕組みであるということもできます。総額人件費の額は、基本的には付加価値との関連で労働分配率を介して決めていくのが基本です。付加価値が10億円であったとき、労働分配率を70%とすると総額人件費は7億円と計算できます。

 この場合、労働分配率は単純に70%としましたが実務的には適正労働分配率線で管理します。適正労働分配率線を求める方法は3つありますが、そのうちの1つを紹介します。

  1. 過去5年間の付加価値、人件費、労働分配率は下表の通りであったとします。その付加価値と人件費のデータを合計して平均労働分配率を求めます。すると、過去5年間の労働分配率平均67.7%が算出されます。
  1. 過去の労働分配率を考慮しながら、あるべき労働分配率を決定します。あるべき労働分配率は利益をどの程度確保するかによって決めます。ここでは、あるべき労働分配率を63%と決定したとします。
  2. 適正労働分配率線を次のように求めます。(1)で求めた付加価値の平均を1.5倍(※)します。1,944百万円×1.5=2,916百万円となります。

  3. ※現在より50%の付加価値増の時点をあるべき労働分配率が実現する時点と考えて1.5倍としました。

  あるべき労働分配率63%を乗じて付加価値が現在より50%増の時点の人件費を算出します。2,916百万円×0.63=1,837百万円となります。

 人件費をy、付加価値をχとした上記2点を結ぶ直線を適正労働分配率線とすると次の直線が求められます。