パイの中の配分を決める仕組みである

 総額人件費の額(パイの大きさ)が決まったら、これをどのように配分していくかを決めることが必要です。総額人件費管理はまたパイの中の配分を決める仕組みです。総額人件費管理は人件費の各費目についてどの組み合わせでいくか、どのような配分思想(年功、能力、職務、成果等)に基づいて配分するかを決める仕組みです。

 配分には次の二つの種類があります。

  1. 人件費各費目の配分調整(人件費のポートフォリオ管理)
    人件費各費目の配分調整とは賃金、賞与、退職金、福利厚生費の配分をどのようにするかということです。総額人件費のパイの大きさは決まっているので、何かを厚くすれば、何かを削らなければならないということになります。これまでの労働組合の活動は「~を勝ち取る」というような表現でした(退職金の増額を勝ち取る。住宅手当の増額を勝ち取るなど)。これは売上も伸び、付加価値額も順調に伸び、人件費のパイの大きさも順調に伸びた時代のよき言葉でした。今は「~を勝ち取る」といったらその裏では「~を削減する」ということを意味します。パイの大きさは一定であるので、何かを増やせば何かを減らさなければならないからです。
  2. 人事政策面での配分調整(人件費の要素管理)
    人事政策面での配分調整とは、下図に示すように年功を重視して配分するか、能力を重視して配分するか、職務価値を重視して配分するか、成果を重視して配分するか、ということです。

 これからは、能力の高い者、高度な職務に就いている者、業績貢献度の高い者に思い切って出して、有能な人材を確保することが、組織の活性化を促し、企業競争力を高めることになります。

 今回は総額人件費管理の概要を解説しました。その場合、人件費のパイの大きさを規定するものは「付加価値」でした。ただその付加価値には、いろいろと問題があるのです。次回は、「活動ベースの付加価値」という新しい概念で解説したいと思います。