細川馨
ビジネスコーチ(株) 代表取締役

 現在は100年に一度の経済危機と言われており、とても厳しい状況が続いています。企業はこの危機を乗り越えるために様々な努力をしていますが、一方で、これまでのビジネスのやり方が通用しないケースが増え、大きな構造変革を求められています。

 M&Aや事業部の統廃合など、組織風土や人の出入りが非常に活発になる中で企業のコンプライアンス(法令遵守)への意識がますます高まっています。私は企業向けにビジネスコーチングを活用した研修やセミナーを行っていますが、ビジネスコーチングの手法を通して企業内のコミュニケーションを活性化し、コンプライアンスへの意識を高めていくことが可能だと考えています。

 今回から6回に分けて、「コンプライアンスを強化するビジネスコーチング」というテーマでお話ししたいと思います。

コンプライアンスが注目されるわけ

 「コンプライアンス」とは、法律や規則に従って活動を行っていくことを指します。法律や規則に従うことはごく当たり前のことですが、現実として、その当たり前のことが行えていない企業が存在するのです。

 なぜコンプライアンス違反は起きるのでしょうか。私は、何よりも経営者や経営陣と社員との間に信頼関係が築かれていないことが原因だと思います。

 もし、社員が社内の不正に気づいた場合、その社員と上司・経営者との間に信頼関係があり、それを指摘できる環境が整っていれば、未然に防げることもあるでしょう。しかし、その環境がないために、苦言を呈すことができなかったり、仮に苦言を呈したとしても経営者がそれを無視するという状況になります。結果として、社員に不満が生じ、内部告発につながっていくのです。