企業の不祥事の大多数は、この内部告発によって発覚しています。近年、内部告発が増えている理由は、次の4点だと私は考えています。
(1) 「公益通報者保護法」の成立
(2) 非正規社員数の増加
(3) リストラなどで解雇された人たちの出現
(4) インターネットの普及

 1点目は、2006年に内部告発者を保護する「公益通報者保護法」が施行されたことです。これは、内部告発をした労働者を保護する目的で作られたもので、この法律により内部告発をしやすくなりました。

 2点目は非正規社員の増加です。日本企業はこれまで終身雇用を前提としていましたが、1990年代のバブル経済崩壊後、終身雇用を維持することむずかしくなり、派遣社員をはじめとした非正規社員を数多く雇うようになりました。現在、日本の全労働力の30%が派遣社員や契約社員であると言われています。彼らは比較的短い期間の契約で働くことが多く、会社に対する愛着や忠誠心を抱く機会が少ないので、見聞きしたことを深く考えずに口にしてしまうというケースが見受けられます。

 3点目は、リストラで解雇された人たちが現れたことです。リストラされた人の中には、不本意なかたちで解雇された人たちもいて、彼らが会社を糾弾するという事態が起きています。

 4点目は、インターネットなどを通じて、誰でも簡単に、匿名で、会社の中の問題を指摘できるようになったことです。この影響が一番大きいのではないかと、私は考えています。

 このように内部告発をしやすい仕組み、起こりやすい状況ができたことで、企業の不祥事が次々と明らかになりました。そして、社会にも「ルールを守らずに金儲けをする企業は許されない」という意識が広がったため、コンプライアンスを重視すべきだという考えを持つ企業が増えたのです。