「反応すること」の重要性

 自己開示をできる環境が整ったら、1点だけ留意してほしいことがあります。それは、自己開示をした相手に必ず何かしらの反応をする、ということです。ここでの反応とは、自分が感じたことや思ったことを伝えたり、必要に応じてアドバイスをしたりすることです。人は、相手が自分や自分の話に関心や理解を示すと安心感を覚えます。思い切って心を開いて話をしたとき、何も反応がかえってこないと不安になり、それ以上話すことができなくなります。心を開くのが苦手な人の場合はなおさらです。

 一度でも、そのようなことがあると、それまでにせっかく築いてきた信頼関係は、あっという間に壊れてしまいます。築くのには大変な時間がかかりますが、壊れるのは一瞬なのです。

 例えば、「最近○○さんとうまく話ができないのです」と部下が言ってきたら、「○○さんは厳しい人だけれど、実は君のことを評価していて、誉めているよ」「○○さんが君についてどう思っているか話を聞いてみるよ」「○○さんに直接話してみたらいいんじゃないかな」というように必ずコメントします。

 それだけで部下はほっとするでしょうし、それ以降も自己開示をしやすくなります。このように、ほんの一言、二言でかまわないので、必ず反応しましょう。

 今回は、人間理解力を高めるということに焦点を当て、自己開示および信頼関係の構築についてお話ししました。次回は、コーチングの手法を使って、人間理解力を高めることについてさらに掘り下げていきます。

細川 馨(ほそかわ・かおる) ビジネスコーチ株式会社 代表取締役
細川 馨

 外資系生命保険会社に入社し、支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。
 2005年にビジネスコーチを設立。エグゼクティブコーチ育成のスクールを主宰。著書に『あなたの成果が爆発的に飛躍するできる仲間の集め方』(日経BP社)、『上司は社員と飯を食え』(日経BP社)、『「右腕」を育てる実践コーチング』(日本経済新聞出版社)など。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。