やりたいことだけ追及するのはキャリア自立ではない

 ニューキャリア時代になり、企業は自立型人材を求めるようになりました。会社に指示された範囲で職務をこなしているだけ、すなわち受身で組織にぶら下がっている状態では困るというのです。自分自身をしっかり理解し、自分が何をやりたいか、目標を立て、自己責任で行動していく人材に、全員がなることを求めています。

 しかし、これは、オールドキャリア時代に長く働いてきた世代にとってはショックなことです。自分のこれまでの生き方を否定されると同時に、自分でキャリアビジョンを考え、作ってきた経験がないので、どうしたらいいのか戸惑っているのです。そういう意味では、40代、50代に対するキャリア研修はとても必要です。

 また30歳前後の世代も、このキャリアビジョンを描ききれずにいます。長期的なスパンではなく、今自分がやりたいこと、興味があることをやればいいと、一人で自己完結するように行動することが自立と考えてしまいがちなのです。また、前回触れたように2000年以降に入社した世代は、学生時代に受けたキャリア選択授業などの影響で、自分の夢や目標を非常に狭く設定したキャリアビジョンを持ち、自己主張ばかりして、青丸部分を無視してしまう態度も見られます。キャリア自立とは「自分がやりたいことだけをやる」ことではないし、それだけの追及へと皆が走ってしまえば、チームや部署としての連帯感やモチベーションは生まれません。組織はバラバラになっていってしまいます。

「共鳴」してこそ組織も活性化する!

 ニューキャリア時代の組織は、さまざまな個人を活かすものでなくてはなりません。だからこそ、「自立」は重要です。しかし見落としてはいけないのは、「共鳴」です。それが組織、チームとして成り立たせるための条件となります。一人ひとりが自立し、そして互いが共鳴し合うことこそが、個人を活かし、組織の活性化させることへつながるのです。

 個人が自立するための第一条件は、各自が自分の価値観、能力をしっかり理解していることです。自分のモチベーションの源泉を知り、自分が身につけている能力を正しく理解し、それを伸ばしていくように心がけることが重要です。そして、3年後の自分を意識しながら、今年の目標を立てたうえで、今を頑張ることです。目先の仕事にがむしゃらに全力疾走しているだけだと、キャリアビジョンを見失いがちになります。気がつけば3年経っていたということのないように、自分の未来図を描き、意識しながら生きていく。そして、自己責任で行動する。それが重要です。自分で決めた、自分で判断したという意識を持つことで、自分の人生を自分でコントロールしているという自覚が生まれてきます。