忙しい管理職の人たちは、ともすれば、心にふたをした状態で仕事をしています。研修や講演では、「モチベーションの状態の数値が50以下の人?」と聞くと、多くの人が手を挙げます。しかし、自分のモチベーションが低いままの状態で、部下のことを気遣ったり、組織活性化のために働いたりするのは、とても大変なことです。

 ただ、いつもモチベーションが高い状態でいることなど誰にもできません。もちろん高いにこしたことはありませんが、人は様々な出来事を乗り越えながら生きているのですから、モチベーションがどん底まで下がることがあるのも当然です。リーダーだからといって、モチベーションがいつも高くなくてはならないわけではありません。

 また、モチベーションが下がって、参っている時のほうが、多くのことを学び、吸収できるものです。なぜなら、心が柔らかくなっているので、いろいろなことを素直に受け入れ、気づくことができるからです。人生絶好調という時は、私自身もそうなのですが、周りの人の助言や言葉がすり抜けてしまい、自分流で突っ走ってしまいがちです。

 2番目の質問では、「部下やメンバーにモチベーションが低い(30以下)人がいる」というところで、多くの人が手を挙げます。モチベーションは、自分の心の状態のことですから、もちろん自分自身の問題です。しかしながら、上司や先輩が、部下やメンバーのモチベーションに、良い意味でも、悪い意味でも影響を与えることも少なくありません。

 3番目以降は、「人間力」についての問いです。なんで、人間力?と思われるかもしれませんが、実はモチベーションと人間力には深い関係があります。

 3番目の質問に対しては、自分の組織に人間力のあるリーダーは少ないというところで多くの手が挙がります。ほとんどの研修や講演が同じ状況なので、私はとても心配になります。また、4番目の「自分の人間力」に関する問いでは、「ある」で自身を持って手を上げる人は、100人の会場でも、2~3人に過ぎません。「無い」が1割ほど、そしてほとんどの人が「わからない」と答えます。4年ほど前、大手メガバンクの支店長500人を対象にした講演で、同じ質問をしたところ、まったく同じ状況でした。

 恐らく、「人間力」という言葉を、皆さん、よく理解していないのでしょう。しかしながら、最後の5番目の問いに対しては、ほとんどの人が「過去に人間力のあるリーダー(上司、先輩、恩師など)に出会った」というところで手を挙げます。そうなのです。なんとなくはわかっているのです。ただ、もしかすると、人間力のあるリーダーは減ってきているのかもしれません。

人間力をうまく発揮できているリーダーとは

 「人間力」。これを、人の間の力と読んでみましょう。人間力はスキルとか知識といった能力を指すわけではありません。人間としての魅力のことです。それも、ただの「いい人」とは違います。生まれながら持っている、先天的なものでもありません。後天的に養われ、培われるものです。人間力は対人関係の中で発揮され、磨かれていくものです。もっと平たくいえば、人間関係における心配りや気配り、つまり「心の使い方」こそが、人間力に結びつくのです。

 私たちは皆、「心」を持っています。つまり「人間力」がない人はいないのです。ただ、人間力をうまく使っている人、発揮している人、すなわちリーダーたる人が最近、減ってきています。