そして、私の一番嫌いな言葉ですが、Give&Take 、Win&Winという意識で人と関わっていたら、信頼関係を構築することなどありえません。ポジティブ・シンキングを「落ち込まない強い人になる」ととらえる間違った解釈が横行し、落ち込む人は弱い人間、ダメ人間といったレッテルが張られ、見捨てられていきました。本来、人の精神面をサポートするはずのコーチングも、コーチングテクニックで部下を操る単なる手法として広まりました。その結果が、今の状況です。

 企業は今、経営者、管理職、リーダーたちの右脳の活性化に力を入れるべきです。感じる力、気づく力、心を使う力に注目しなくてはなりません。心をうまく使える管理職、つまり人間力をうまく使える管理職に全員がなっていくようにしなくてはなりません。成果に直結するような技術や知識の研修も重要ですが、心を使うことを気づかせるような研修や機会をもっともっと取り入れていく必要があります。

 全員が気づくきっかけを作ってください。私は、人間力をうまく使えているリーダーが多い組織こそが、人を活かす組織であり、活性化、発展する組織になっていくと考えます。

 そして、人間力をうまく発揮しているリーダーに育てられた部下たちは、リーダーからその人間力の使い方を学んでいくこととなります。上司の人間力によって部下の自立が促進され、そこで生まれる上司と部下の信頼関係が組織にとっての求心力となります。

 そしてそれは組織への活性化とつながり、結果的に多くの成果をあげていくはずです。成果を上げるために何をするかではなく、活性化し、発展していく組織風土を作っていくことこそが、今、企業に求められていると言えるでしょう。

植田寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

モチベーションを上げるにはどうすればいいのか?

 オールドキャリア時代の成果主義・能力主義は、知らず知らずにモチベーションストッパーとなる管理職やリーダーをたくさん生んでしまいました。それは決して本人たちが望んだ結果ではなく、企業・組織から、頭と体を使って成果を出すことが求められ続け、それに対して忠誠心を持って対応してきた結果だといえるでしょう。

 会社ではビジネスライクに、本音と建前を使い分け、仕事だと割り切って働くことが、どこかで当たり前となってしまいました。そして、自分の感情にふたをし、「心」を意識することなどなくなってしまいました。自分の心にふたをした人が、周りの人の心を意識することなど毛頭できません。

 会社というものが、自分の気持ちを押し殺して働く、居心地の良くない場所になってしまったのはいつからでしょうか?本人だけでなく、部下も、組織もモチベーションが低迷する状態を、誰しも良いは思わないはずです。では、どうしたらそれを変えられるのか?それは管理職の気づきしかありません。