次に、「2.何かひとこと価値を付け加えようとする」という癖がある人も注意が必要です。優秀な部下があるアイデアを言ったときに、「良いアイデアだね」とだけ言えばいいものを、「良いアイデアだけど、これも加えてみたらどう?」と余計なひとことを加えます。これを口にしたことで、アイデア自体の品質は多少上がるかもしれませんが、部下のモチベーションはそれ以上に下がり、やる気をなくします。「加えてみたらどう?」と言われた時点で、部下は自分のアイデアではないと思ってしまうのです。優れた部下のモチベーションが下がることにより、組織が受けるダメージは計り知れません。

 「3.善し悪しの判断を下す」「4.人を傷つける破壊的コメントをする」癖も厄介です。人間として、人物評価されることほど、屈辱的なことはありません。上司から「君はこういう人間だ」と決めつけられた部下は、どういう気持ちになるでしょうか? 心の中で思うことはあるかもしれないが、口に出すのはもってのほかです。自分自身が、好ましく思ってない人に「あいつはこういう人だ」と陰で言われているとしたら、煮えくり返る思いにならないでしょうか。

改善したいものを1つ選んで行動する

 自分では客観的に見られないこともあるので、自分に悪い癖があるかどうか周りの人に聞いてみるといいかもしれません。ただし、全員の意見を鵜呑みにする必要はありません。10人中8人が問題というのであれば、当てはまることになりますが、10人中2人だけが言うのであれば、気にすることはありません。悪い癖をいっぺんに変えることは不可能です。1つに焦点を絞り、それを改善しようと意識して行動してください。それだけでも、自分自身、そしてまわりに大きな変化が現れるはずです。

 もう一点強調したいのが、リーダーには自分を見つめる鏡を持ってほしいということです。自分の顔や姿は、毎朝鏡で見て確認しているはずです。「今日は顔色がいい」「今日は疲れているな」などと、自分の顔を見て思っているでしょう。自分の言動についても、ふり返る癖を持つ必要があります。言動の「鏡」を持ち、毎日その「鏡」に映る自分を確認してください。その「鏡」を意識し、まずは1つの悪癖の改善に努める、それが自己変革につながっていきます。

 今回は「一致協力する組織」を作るための第1ステップ「リーダーの自己変革」で、成功したリーダーが組織に与える弊害に焦点を当ててお話しました。次回は「リーダーの自己変革」の第2段階として、リーダーの自己分析、思考の枠について解説します。

細川 馨(ほそかわ・かおる) ビジネスコーチ株式会社 代表取締役
細川 馨

 外資系生命保険会社に入社し、支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。
 2005年にビジネスコーチを設立。エグゼクティブコーチ育成のスクールを主宰。著書に『あなたの成果が爆発的に飛躍するできる仲間の集め方』(日経BP社)、『上司は社員と飯を食え』(日経BP社)、『「右腕」を育てる実践コーチング』(日本経済新聞出版社)など。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。