過去は変えられないが、未来は変えられる

 しかし、実際に、フィードバックを受け入れて改善するというのは、やはり難しいものです。そこで、私が提唱したいのが、フィードフォワードという手法です。フィードフォワードとは、簡単に言えば、「自分自身で変革したいことを1つ決め、それを自分自身で改善していくこと」です。

 私がフィードフォワードを提唱する背景には、次のような事実が挙げられます。

  • 人はそもそもネガティブなフィードバックを聞きたいと思っていない。
  • 人は将来に向けてのアイデアを得ることは大好きである。
  • 人は自分で決断することを強く望んでいる。
  • フィードフォワードを行うことで、あなたの影響を受けるすべての人が、あなたの味方になる。
  • 人が「正しく」なるように手助けするのは、「間違っている」と証明するよりも、はるかに生産的である

 フィードバックは、過去の言動に対して、周りの人から意見をもらうものですが、過去というものは変えることができません。ならば、自分の未来をどうしたいのか、これから自分がどう変わりたいのかを自分で決め、それに取り組んでいくほうが、はるかに意味があります。

 フィードバックとフィードフォワードの違いは次のとおりです。

フィードバックフィードフォワード
過去形 未来完了形
過去にどうしたかを教える将来実践できるアイデアが出る
誤りや欠点を話す問題ではなく解決策に焦点を当てる
優位に立つ人が批判する職場の仲間が互いを助け合う
その人固有の問題として捉えるその人固有の問題として捉えない
苦痛、恨まれる、仕返し許可、守られる

 フィードフォワードの手順は以下のとおりです。

  1. 自分のビジネスにとって重要なことで、変えたいと思う行動を1つ選び、書き出す。例えば、「人の話をしっかり聞く」など。
  2. 信頼できる人に、自分が行動を変える理由を説明する。
  3. 「自分が決めた行動の変革」を継続的に実行するために役立ちそうな提案をしてもらう。
  4. 納得したら提案を受け入れ、実行する
  5. その人にチェックしてもらう

 リーダーとして、自分が改善したいことを自分自身で決め、改善するために自分の信頼できる人に意見やアドバイスを求め、改善に取り組みます。自分自身が変革するために、周りの人を巻き込んでいくので、高い効果が得られます。過去の言動について誰かに指摘されるフィードバックよりも、人間の心理に即した非常に機能しやすい優れた手法です。