私がエグゼクティブ・コーチングをする中で、このような問題を抱えているリーダーの方によく遭遇します。特にグローバルに事業を展開する外資系企業で多く見られる傾向があるようです。

 たとえば、本社が全世界の売上目標を1000億円と考え、日本に300億円、アメリカに300億円、EUに400億円を割り振ったとします。しかし、今の日本支社の実力からみると300億円はあまりにも高く、自分たちの能力に見合っていないと感じたのであれば、部下に「売上目標300億円を絶対に達成しなさい」と言うのではなく、まずは本社のトップと交渉し、掛け合わなければいけないのです。

 リーダーが「なぜ、その目標が設定されたのか」「なぜ、その目標を達成しなければならないのか」について納得できていなければ、部下が納得できるはずがないからです。リーダーは、組織の考えを現場に"翻訳"するとともに、「現場の目標」と「組織の目標」をつなぐ橋渡し役を果たさなければなりません。特に、現場の目標と組織の目標にギャップがある場合、その役割がとても重要になります。

◆エグゼクティブ・コーチングの役割

 ここで、エグゼクティブ・コーチングの役割についてお話ししたいと思います。

 エグゼクティブ・コーチングは、エグゼクティブの方にコーチングをするものですが、そのコーチングを通して、組織をコーチングしていることにもなるのです。エグゼクティブの方の行動が改善されたらそれで終わりというものではなく、エグゼクティブが変革を遂げたことで、組織全体が良くなっていかなければいけないのです。その組織には社員も含まれますし、顧客も含まれます。つまり、エグゼクティブ・コーチングの役割は、エグゼクティブ自身を変えることで、組織を変えることなのです。