ミッション

 ビジョンと同じくらい組織にとって大切なのが、「ミッション」です。「ミッション」とは、一般に任務や使命のことを言いますが、ビジネスコーチングモデルにおける「組織のミッション」とは、「何をもって同業他社に勝つか」「この組織だからこそできるもの」を指します。つまり、組織の特徴であり、強みです。具体的には「他の組織ではできない、この組織だからこそできることや提供できる価値」を意味します。

 多くの組織では「ミッション」をオフィスに掲げたり、ホームページに掲載したりしています。しかし実際には、メンバーに全く浸透していないようなケースがよくあります。

 その理由としては、次の2つが考えられます。

  1. 組織のミッションについて、メンバーと話をする機会がない
    リーダーは、組織のミッションを部下に発信し続けるという重大な責務を負っていますが、多くのリーダーは売り上げのノルマや期日に追われ、その責務を十分果たしきれていないという問題があります。そもそも、リーダー自身が組織のミッションをきちんと理解しておらず、そのため部下に説明できないということもあります。
  2. メンバーが組織のミッションに共感していない
    どんなに見た目が整っているミッションであっても、メンバーが共感し、その実現に向けてモチベーションを高めることができなければ、そのミッションの意味はありません。メンバーが共感するためには、メンバーの想いや意見が組織のミッションに反映されていることが不可欠です。
    1.  リーダーは、自分が決めたミッションを、組織のミッションとしてメンバーに押しつけるのではなく、メンバー全員で組織のミッションは何かについて考え、議論する機会を設ける必要があります。

       メンバーに浸透するミッションを作り上げるためには、次の2つのキーワードを切り口にしてください。

      1. 社会に対する使命
      2. 顧客に対する使命

       組織のミッションを明確にする際には、

       質問する ⇒ 紙に書かせる ⇒ 発表する ⇒ 議論する

      というプロセスを踏むと、全員が納得したミッションを作り上げることができます。ミッションは、価値観とともに組織の土台となる部分であるため、時間を十分にかけて議論することが大切です。その議論のプロセスを通して、組織に一体感が生まれてくるのです。

       このようにして組織のミッションを作り、強みを明確にしたうえで、その強みや長所を伸ばしていくことになります。ただし、ここで忘れてはならないのは、強みを伸ばすだけでは不十分だということです。

       2008年に経営破綻した米証券会社のリーマン・ブラザーズは、不動産関係の取引で強みを発揮し、業績を伸ばしました。しかし、そこに注力しすぎたため、破綻に追い込まれたのです。

       ミッションを打ち出して強みを発揮しただけでは、会社は一時的に市場で勝つことはできても、勝ち続けることはできません。

       では、どうすればいいのでしょうか? 組織の価値観とのバランスを考え、ミッションと価値観の連携を図る必要があります。「何をもって同業他社に勝つか」、「この組織だからこそできるものは何か」という視点に立ったミッションを、メンバーと話し合いながら、ぜひ確立してほしいと思います。