95歳の自分からのアドバイス

 最後に、リーダーが組織で生き残るために、知っておいてほしいことをお話しします。これは、私がエグゼクティブコーチングの第一人者、マーシャル・ゴールドスミス氏から教わったことです。

 ある老人がいました。老人は95歳で、死の床についています。老人は臨終のときを迎えて、自分の人生を振り返っています。

自分の人生はどうだったろうか。
誇るべきものだった。
お金や名誉は関係ない。自分は常にハッピーで生きてこられた。どんな状況でもハッピーだった。自分の可能性に常にチャレンジしてきた。
家族に支えられ、多くの人に助けてもらった。一方で、自分は何人かの人を手助けすることができた。

 その人に聞きました。「今、自分より若い人たちにどんなアドバイスをしますか?」

 老人は言います。「自分が死ぬときをイメージしてほしい。死の床にいる自分は、今の自分にどんなアドバイスをするでしょうか。そのアドバイスを実行してください」

 95歳の臨終間際のあなたは、今の自分に一体どんなメッセージを贈るのでしょうか。それがあなたにとって一番大切なことです。その一番大切なことから始めてください。

 人生は1度きりであり、人生には限りがあります。優秀な成果を収めてリーダーになったのであれば、自分自身がまずはハッピーになることを心がけてください。

 ハッピーでないリーダーが、周りの人をハッピーにすることはできないのです。自分もハッピーになり、周りの人もハッピーになったほうが、楽しく充実した人生を送ることができるのです。

 「リーダーとしての技術」を身につけ、リーダーも、周りの人も、そして組織もハッピーになることを願っています。

 なお、「リーダーとして生き残る技術」として6回に分けて解説してきましたが、今回のコラムをより詳しく解説し、実践ですぐに使えるエッセンスをたくさん盛り込んだ『リーダーとして生き残る技術』(仮題)という書籍を、11月に日経BP社から出版する予定です。組織の大小を問わず、チームを率いている人なら、誰にでも役立つ内容となっています。

 手にとっていただけたら幸いです。

細川 馨(ほそかわ・かおる) ビジネスコーチ株式会社 代表取締役
細川 馨

 外資系生命保険会社に入社し、支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。
 2005年にビジネスコーチを設立。エグゼクティブコーチ育成のスクールを主宰。著書に『あなたの成果が爆発的に飛躍するできる仲間の集め方』(日経BP社)、『上司は社員と飯を食え』(日経BP社)、『「右腕」を育てる実践コーチング』(日本経済新聞出版社)など。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。