植田寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

「では、共通する部下に対する悩みについて5つのグループに分かれましたね」

  • 答えやアドバイスばかりを求める部下
  • モチベーションの低い、元気のない部下
  • マイナス思考、消極的な部下
  • 自分のやりたいことがわからない部下
  • 無理して頑張っている部下
  • 本心、本音のわからない部下

「では、これからグループディスカッションをしていただきます。ただし、ディスカッションで皆さんに使っていただきたいのは、2日間の研修のテーマでもある『心』です。『頭』を使って考えるのではなく、『心』を使って感じて気づいてください。そして感じて気づいたことを明日の朝、発表をしていただきます。模造紙に『絵で描いて』発表してください」

 ある企業での管理職研修は夜のディスカッションがある特別バージョンです。夜のディスカッションのやり方と明日の発表について説明した瞬間に、受講生全員はいつも目を白黒、口をぽかんと開けてしまいます。「『絵に描く』っていったい何?」――。3年目で20回近い回数になるこの研修ですが、今回の4月のクラスも20名の受講生は30代後半から40代の半ばくらいまでの中間管理職で男性が19名、女性は1名だけでした。

「皆さん、驚いた顔していますね。何か質問は?」

「先生、絵を描くって、文字は絶対に書いてはいけないんですか?」
「絵って、図でもいいんですか?」

「絵ですよ。もちろん絵に文字は無しでしょう。絵は図ではないでしょう」(笑)

「ええっ、台詞もダメだってことですか?」
「ディスカッションの流れを絵にするのですか?」

「今の段階で、皆さん頭がフル回転で???となっていますよ。頭は使わない、心を使ってください」

「なんで絵なんですか? 私、絵が下手なんですよ。絵を描きたくない」

「上手い絵を描くという課題ではありません。絵で描くこと、それで感じたことを発表することが重要なポイントです。皆さんがいつもここで困ってしまうので、今回は秘密兵器を持ってきました。クレヨンです。さあ、模造紙とクレヨンとカラーマジックを持って各自のグループの部屋に行ってください。1時間くらいしたら、それぞれの部屋を回ります」

 各グループのメンバーの表情は、当惑と不安顔です。