そういう会社の方々は自社の女性管理職比率に目を向けてください。会社の管理職層の30%が女性で、研修を行う時にも30%が女性となっているなら、女性だけを集める必要はないかもしれません。しかし、女性管理職比率が10%どころか、5%にも満たない会社の女性リーダーやリーダー候補達は、非常に孤独で強いプレッシャーの中に身を置いています。そして20代後半から30代というまさに組織においてリーダーとして成長時期が女性にとっての結婚や出産のライフイベント時期に重なっており、そのバランスをいかにとるかが男性とは比べ物にならないほど大変だということを、男性にはまだ十分に理解されていません。女性リーダーやリーダー候補は男性軍隊の中に一人自分が入り、女性であることを目立たないように隠しつつ、女性だと見劣りしないようにと頑張っています。同じ立場の男性が受けているプレッシャーやストレス+αで、かつ相談相手もいない状態です。

 また自社で研修を企画するほど女性リーダーや候補がいる会社は、それなりに行動が伴っています。しかし、社内で数人しか対象となる女性がいない場合、何もせずに放置されているというのが当たり前の状況になっているはずです。だからこそ、公開セミナーという形で、いろいろな企業の女性リーダーや候補の方々を集めることができれば、素晴らしいことです。日経BP社主催で、2006年から2008年にかけて7回やらせていただいた「女性リーダー育成セミナー」はその草分け的なものだったと言えるでしょう。まさにその特別ヴァージョンとしての洋上研修6日間でした。

親とひな鳥からスタート 「信じる」

 今回は2カ月を切る短期間で、しかも限定的な募集だったため、参加メンバーは30歳から40代半ばの6名でした。彼女たちを送りだした母体の企業は、重厚長大産業や体育会系の男性中心社会となっている会社ばかりでした。つまり女性管理職比率だけでなく、女性比率も非常に低い会社出身です。4人は会社の推薦で、2名は自薦でした。

「この研修に選ばれて、ちょっと恐縮しています。リーダーになることを周りが望んでいるとは思うのですが・・・」
「仕事は好きです。技術職です。いつもは男性というか、おじさん達に囲まれて仕事しています。他の女性の方々と一緒の研修でちょっと緊張しています」
「人生の節目を感じています。でも自分の未来があまりよく見えません」
「周りが期待するほど、私は自分に自信がないのです」

 彼女たち6人の初日の顔合わせの瞬間の表情は、不安げ、緊張感で、伏せ目がちで、笑顔もひきつっているという感じです。生き生き度合いでいけば50%未満でしょうか。意気揚々と船に乗りこんでいる、他のコースの男性達とは大違いです。

 私はこの6人と船という携帯電話もインターネットも接続不能で、しかも大海原に囲まれるという空間・時間の1週間あまり過ごすにあたって、自分の意識が通常の講師でなくなっていることに気づきました。

「私はこの6人を預かった親鳥みたいなもの。彼女たちはひな鳥。彼女たちが1週間でどう変わるか、どう成長するかはわからない。それは私が強制するのではなく、彼女たちが自ら気づき変わっていく。私は信じよう。だから私は私のすべてを正直に見せていこう」