最近この「OJT」を見直す、あるいは強化する企業が増えているように感じます。筆者は、あるIT企業から要請をいただき「OJT指導者研修」を行いました。その企業では、今年度の人財育成方針として、OJTの強化を重点施策に掲げ、

OJT指導者の任命
OJT計画書の作成
OJT指導者のスキルアップ

を具体的な実践項目として取り組んでいました。OJT指導者研修は、上記3番目の具体策としておこなったものです。

OJTの必要性を再認識

 新入社員の指導者には、若手社員を任命し、その若手社員には中堅社員を、中堅社員にはベテラン社員を指導員として任命する、全社的な取り組みとして、指導者全員を対象として研修を行いました。

 研修の前に事務局と相談し、「OJT指導者」の定義を以下のように定めました。

「同じ職場」で「組織の目標・成果を共有」し、OJT対象者と共に成長することを目指す「指導員」である

 この定義の中でも「共に成長する」ことを最も重要なこととして、指導者自身がOJTに取り組むことで、自らも成長することを柱に研修を組立ました。

 研修では、以下の3つのことについて学習しました。

「コミュニケーション(特に聴く力の強化)」
「自分を知り、相手を知る(タイプと仕事への意欲の観点から)」
「育成のためのプロセス」

 そして、最後に「OJTの目的と効果的な進め方」という課題でグループ討議を行い、発表しました。ベテラン社員中心の研修では、「昔はこんな研修がなくても先輩が後輩を教えるのは当たり前だったのに、どうしてOJTが希薄になってきたのだろう?」という感想が聞こえてきました。すると、

「昔は、毎年職場に新入社員が配属されて、2年目になると自分が模範にならなきゃいけないと意識して、そのことが成長につながっていたように思う」
「今は、めったに職場に後輩が入ってこないので、教える文化が希薄になったのではないだろうか」

 ベテラン社員はOJT指導者研修と聞いて、「いまさら何故?」という疑問を当初感じていたようです。しかしグループ討議をする中で、「一体感のある職場づくりをするためにもOJTの文化を取り戻すことが必要」と確認できました。