若手社員のチームからは、「指導することが仕事に加わるなら、それなりのインセンティブがあっても良いのでは?」とドライな意見がある一方で、

「教えることが自分の成長につながるのだから、良い機会ととらえて共に成長することを目指したい」
「指導者と任命されたことが嬉しい、対象者のタイプや意欲の状況を把握した上で育成の方法を選択することが必要だと分かった。実践したい」

など、今回の研修を良い機会と捉える声が多く出ました。

OJTを阻む「個人の成果」主義

 中堅社員のチームからは、以下のような声が聞こえてきました。

「教えることが自分の成長につながり、対象者が育つことで結果として自分が楽になる。分かっているが、現実にはその時間がない。余裕がない」
「折角教えたと思ったら、プロジェクトの切れ目でチームが変わり、一体感が持てないことが続いた。教え育てることの必要性を感じるものの、チームとしての一体感がないとその気になれない」

 OJTの文化を形成する上で、中堅社員の働きが最も重要に感じます。しかし、彼らはその必要性を感じつつも、現状の忙しさの中でOJTの優先順位をあげることに対する抵抗感があるようでした。これは、忙しさもさることながら、成果主義人事制度の中で「個人の成果」に焦点があたっていることとも関連しているようです。

 今回の研修は、筆者にとってもベテランから若手社員まで多くの本音を聴ける良い機会となりました。

 日本の強さは何か?

「チームの一体感」
「チームが一つの目標に向かい、一人ひとりが自分のできることを探し実行する」
「脈々とつながっている日本人の魂を持って、選手たちは戦ってくれた」

 岡田監督の帰国後記者会見は、数々の名言を残してくれました。今回の日本チームの強さは、企業活動にも脈々とつながっているのではないでしょうか。

安藤 良治(あんどう・よしはる) PSマネジメントコンサルティング 代表
安藤 良治

 1956年生まれ。メーカー系ソフトベンダに入社し、27年間教育、採用、組織・人事と人事畑一筋に歩んできた。その間、インフォーマルグループ“夢現会”を社内に立ち上げ、社員の自立化、第一人称で自社を語る人財の育成に力を注ぎ、人事部長を経て2005年に独立。独立後は、仲間と実践的な問題発見・開発技法「創造的実行プロセス(B-CEP:ビーセップと呼ぶ)」の開発と普及を柱に、プロジェクトマネージャー能力強化研修、ビジネスアナリシス実践研修、ITリーダー研修、ITシミュレーション研修、PBL型新人研修(3ヶ月)の運営責任者等を担当している。また、NPO法人ITスキル研究フォーラムの人財育成コンサルタントとして“人財育成のツボ“の情報発信や、一般社団法人IT人材育成協会(ITHRD)において「ラーニングファシリテータ育成」プログラムの開発と普及活動を行い、主としてIT業界の人材育成に注力した活動を行っている。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。