新井さんは、先生の説明と妻の言葉を聞いて会社を休むことを決断し、抗うつ薬の処方箋をもらって帰宅しました。帰宅途中、「俺がうつ病なのか。受け入れがたいが、先生の言葉を信じて治療を受けるしかないな」と今後の決意を妻に語りました。

 先生が書いた診断書には「診断:うつ病。本日より3カ月間の自宅安静を必要とする」と書いてありました。

本人も周囲もうつ病に気づかない

 新井さんの病状は、典型的なうつ病です。しかし、患者さんには身体の調子が悪い程度にしか感じられていません。また、周囲の人にも、体調が悪い、仕事の能率が悪いとしか見えていないようです。ただ、先輩の竹村さんだけが「何かおかしい」と感じて精神科クリニックの受診を勧めてくれました。このようにうつ病は患者本人がうつ病になっていると気付かないことが多いのです。周囲の人も同様です。

 うつ病と感じたり、周囲から勧められても精神科クリニックの受診をためらうということもまれではありません。元気であった自分がうつ病になるとは信じられないかもしれません。けれど、うつ病は誰でもなる病気です。しかも、治療を受けることで回復も可能なのです。

 周囲の方々に新井さんのような症状を呈していることはありませんか。注意して観察することが大切です。
(次回は、うつ病の診断書が出た新井さんの休養方法についてお話します)