リップシャッツ 信元 夏代
アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役

 新興国台頭による更なる市場拡大の可能性、クロスボーダーのM&Aの活発化、働き方の多様化、マイノリティーの登用 ―― などなど、多くの企業はすでに多様性に富んだ企業環境におかれている。もはや「ダイバーシティ・マネジメント」は単なる人材戦略ではなく、企業経営戦略なのである。しかし、このような多様な環境を、事業パフォーマンスやイノベーションなどの具体的成果につなげていくために「活かし」、効果的に「管理・経営」できているだろうか。

 今回から2回にわたり、多様性を通じて組織の力を高め、競争優位性を実現するための企業経営戦略としての「ダイバーシティ・マネジメント」について考察していきたい。

「ダイバーシティ」の定義が明確ですか

 まず気になるのは、「ダイバーシティ」の定義が明確にできているだろうかということ。「ダイバーシティ(diversity)」とは「多様性」の意味であるが、そもそもダイバーシティという言葉が持ちうる意味自体が多様であり、ダイバーシティに取り組もうとしても、あいまいな議論になってしまいがちだからだ。

「我が社におけるダイバーシティとは具体的に何を意味するのか」
「なぜ多様性が必要なのか」
「我が社ではどのような多様性が必要であり、どのように管理していけばよいのか」
「ダイバーシティを通して、如何に自社のパフォーマンス向上に繋げられるのか」

 このように、各企業ごとに意義のある、明確な定義づけや目的意識の共有が何よりも重要なのである。ところが、それがあいまいなままダイバーシティ推進がされてしまっているケースが多々見受けられる。