当日、二人は電車に乗り温泉地へ向かいます。

「こんなに早く良くなって良かった。早く復帰もしたいものだよ」

 新井さんは嬉しそうに語りかけます。

 2時間ほど電車に乗ってからバスにのり、温泉地へ着きました。山並みは紅葉で美しく、源泉からは湯気が立ち上り、いかにも温泉地という光景です。ところが、そのころから新井さんの足取りがなんとなく重くなってきました。それに気づいた妻が「あなたどうしたの、大丈夫?」と心配そうに尋ねます。「久しぶりに電車とバスに乗ったから疲れたんじゃないかな。ひと風呂浴びれば良くなるよ」というものの、その表情には明らかに疲れがにじみ出ていました。

食欲も無く、不眠状態に

 目的の温泉宿に到着しました。新井さんは疲れ切っています。部屋に入るなり、「こんなに体力が落ちているなんて」と言いながら畳の上に横になります。しばらく休んでから、温泉に入ってみましたが、体は重いままで入浴も気持よくありません。早々に入浴を終わらせ部屋へ戻ります。美味しそうな夕食もあまり食べる気になりません。

 調子が良くないと感じた新井さんは早々に布団に入り休むことに。ところが、夜中に何回も目が覚め、ゆっくり休むこともできませんでした。