新井さんは自宅に戻り休養する生活を再開しましたが、眠れない、食べられない日が続き、体調が戻るまでに1週間かかりました。そして翌週の診察。

「やっと前の状態に戻りました」
「良かったですね。今度は無理をしないようにしてください」
「苦しかったですよ。もう、こんな経験はしたくないので、これからは注意するようにします」

うつ病の症状が再び出現する「再燃」に注意

 うつ病治療を始めて2~3週経過すると、睡眠、食欲が改善し、気分も良くなり、動きたいという意欲も湧いてきます。今までの苦しい気持から少し解放され、すがすがしい気分も感じていることでしょう。動いてみたいという気持ちもわかります。

 しかし、うつ病の治療では“動きたい”と思う時が一番難しい時期ともいえます。なぜなら、動けるようでも、うつ病の症状はまだ残ったままなのです。たき火の残り火がまだ残っているような状態で、燃える物を入れればすぐに火の手が上がってしまいます。

 今回の新井さんのように、医師がまだ安静を指示している時期に限度を超えて動くと、不眠、食欲不振、抑うつ気分などうつ病の症状が再び出現することがあり、これは「再燃」とよばれています。症状が再燃すると苦しい症状を再び経験するばかりでなく、回復にも時間がかかってしまいます。活動の開始時期は自分で判断せず、担当医とよく相談の上で決めることが大切です。