うつ病治療の初期にはとにかく安静が必要です。その後、治療が進み、睡眠、食欲などの症状が改善してきますと「動きたい」という意欲が出てきます。ここがうつ病治療での難しいポイントです。動きたいからといって無理に動くと、症状が悪化する(これを「再燃」と呼びます)ことがあるからです。症状が再燃してしまうと、患者さんは再び苦しい思いを経験するのみならず、回復まで余計に時間がかかってしまいます。

 今回、新井さんの散歩は15分から始まりました。少ないと感じる方もおられると思いますが、慎重に越したことはありません。

活動を再開する際のポイントを知っておく

 散歩などの運動をする場合は、動いた後に疲れを感じない程度にすることが肝心です。動いて楽しかったと思えれば良いでしょう。そして、症状の改善に応じて徐々に活動の範囲を広げてゆくのですが、この際も動き過ぎないようにすることが肝心です。表に活動を再開する際のポイントを示しました。

活動を再開する際のポイント
活動を再開するときには、少しずつはじめることが必要です
症状改善に応じて、少しずつ活動範囲を広げてゆきます
活動範囲、程度は医師などと相談して決めることが大切です
動きすぎると症状が悪化する(再燃)することがあります

 活動の程度を自ら設定することが難しいこともあります。担当医とよく相談して決めることが症状の悪化を防ぐためにも重要です。

 症状が改善してきますと、体力、気力が戻ると同時に、周囲で起こっている事に興味、関心が行き渡るようになります。紅葉が美しく感じられたのも、症状改善の兆候です。

 当初の診断書に書かれた休職期間よりも長引くことも稀ではありません。大切なことは、うつ病をしっかりと治して復帰することです。治り方は人それぞれですので、あせらずに治療に専念してください。