リップシャッツ 信元 夏代
アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役

 近年、中国を筆頭に、ビジネス界ではアジアが急速に勢力を伸ばしている。アメリカ国内のみならず、グローバル市場において大きな存在感を示しており、人材そして組織のグローバル化が、これまで以上に重要な組織的課題として浮き彫りになってきた。一方で、日系企業はこの分野において大きく遅れをとっており、早急な対応が求められている。グローバル市場を舞台に戦える人材と強固な組織づくりが必要不可欠となった今、限られたリソースでチームワークを引出し、チームの成果を最大化できる“ファシリテーター型リーダー”がグローバル事業成功の大きな鍵となっている。

日産やGEの業務改善成功の鍵

 まず、最新事例ではないが、ひとつの事例を紐解いてみよう。

 カルロス・ゴーン氏が率いた日産のリバイバルプランで一躍有名になった業務改善手法V-UP。中でもV-UPにおけるV-FASTプログラムは、部門横断的なクロス・ファンクショナル・チーム(CFT)が一堂に会して集中して話しあうことで、コスト削減策を1日で作り上げようという趣旨で行われ、実際60億円のコスト削減に成功したといわれている。

 しかし当初は、やはり従来型のマネジメントでは通用しない壁にぶつかった。その壁を突破するために導入した秘策がある。それがファシリテーションだ。短期間に、数千人ものファシリテーターの育成を計画し、達成したのである。

 V字回復に成功した企業や、新たなビジネスモデルの構築に成功して新市場を切り開いた企業。その背景には経営者やプロジェクトリーダーが持つ「ファシリテーション・スキル」がある。

 ファシリテーション導入の先駆者である米ゼネラル・エレクトリック(GE)も、導入時の目的はコスト削減にあった。GEは90年代にワークアウト活動を全社展開し、多くの社内ファシリテーターが活躍した。その「work out」の英語の本来の意味は「運動をして贅肉をとる」であることから推察できるように、「話し合って業務の無駄を排除する」ことにあった。当時のGE会長であったジャック・ウェルチ氏は、このファシリテーションを活用したワークアウトを強力に推進し、全社で数万回ものセッションが実施された、とも言われている。