入江:育成施策、特に集合研修に関してはどのくらいの力を入れていますか?

後藤:採用と研修という観点で申し上げると、これまでは採用にやや力を入れてきました。これからは育成により一層力を入れていこうと思っています。ただし、育成の中心に研修プログラムや研修体系を置く方針はとらないと思います。

入江:研修の受講の目的化を避けるとか、そういう意味合いでしょうか?

後藤:そうですね。もちろん必要最低限の研修は行いますが、本質的に重要なのは「経営や現場からのニーズ」とだと思っています。ニーズがあれば研修プログラムも組みます。ただし研修プログラムありきで、「年間でこれだけ受講してください」とか、「数年前から実施している研修なので新任管理職の人はみなさん受講してください」とか、そういう風にはしたくないですね。少なくとも人事本部の私たちがその研修プログラムを実施する理由や想いを熱っぽく語ることができなければ、その研修プログラムの実施は疑います。そんな研修はやっても狙った効果は出ないと思いますよ。

360度フィードバックで「経営理念の浸透」を

入江:では現状の経営や現場ニーズにはどのようなものがありますか。取りも直さずそれが経営戦略と連携した人材開発施策の例になると思います。

後藤:広く組織・人材開発という観点でいうと「経営理念の浸透」になると思います。冒頭で申し上げたように、私たちの会社では関連するビジネスが次々に立ち上がってきていて、それぞれをグループ子会社として独立した存在として扱っています。とはいえ、グループですので根っこの部分は共通した何か持ち続けないとECナビグループとしての成長が困難になると考えています。

入江:「経営理念の浸透」に関しては、具体的にはどんな経営ニーズもしくは現場ニーズだったのでしょうか?

後藤:ECナビグループとして更に成長していくためには、経営理念の浸透が不可欠であるという想いのもと、今まで人事評価基準に「カルチャーの発揮」という項目を設けていました。我々が思うカルチャーとは、経営理念が浸透した状態からこそ生まれる、その会社固有のカタチだと思うんです。そのカタチこそが組織の生産性を向上させるために不可欠なものであると。

社員数が比較的少ない頃は、この「カルチャー」という言葉だけで何となく共通認識がとれていました。ECナビらしい(らしくない)というのが、肌感覚でわかっていたという言い方もできますね。しかし、社員数が増え、グループ企業も増えてくると、「このカルチャーって具体的に何?」という声が聞こえてくるようになったんです。そんなところが発端ですね。