入江:今おっしゃった“仮説の設定”というのはどのような方法でされているのでしょうか?

高橋:日頃の情報収集や人材育成センター内でのディスカッション、外部の研修コンサルタントの皆さんとのディスカッションから作り上げますね。それほど詳細に作りこむわけではないですが「人材育成センターが何を課題として捉えていて、どんな解決策を考えているのか」という“意思”というか“想い”が無いと、どんな人にヒアリングしてもよいディスカッションはできません。仮説設定は重要な仕事です。営業活動と一緒で「自分なりにこんな風に考えてみました」ということが大事で、間違っていてもいいので何回も仮説をぶつけるようにしています。

入江:そういう情報集収集のためのヒアリング、特に現場の責任者クラスへのヒアリングに関してはセッティングそのものに難しさを感じる人材開発部の皆さんも多いと思うのですが、何か工夫はされていますか?

高橋:工夫は特にしていませんね。常務や事業部長クラスへの人材育成計画ヒアリングを行うこと自体は、会社の仕組みとして存在していたわけではなく育成側が企画して実施しているものですが、特に障害は無かったですね。ただ、営業時代の経験が役立っているのかもしれません。忙しい現場の責任者クラスなので、アポイント一つとるのもコツがいりますからね。

自分の頭で情報収集と仮説設定を日々行うことが仕事

入江:ではそういった情報収集の中で、人材育成センター様として特に注目されているビジネスの変化は何になりますか?

高橋:いくつかありますが、マーケティングとセールス領域を担当している私が一番注目しているのは「営業が待っていても顧客からビジネスの引き合いが来ない」という状況です。ここ数年続いているんです。ですから今、営業担当者に求められているのは創造性、つまりビジネスクリエーションができる能力だと思います。確か10年前位に「プロダクトからソリューションへ」という流れが営業人材開発で注目されましたよね。そこから「提案型営業」が流行ったわけですが、その流れは続いている。というより、テクノロジーの変化に伴って、より高いレベルの「提案型」が求められているのだと思います。

入江:なるほど。ちなみに、ビジネスクリエーションができる人材というのは、具体的にどんな人材なのでしょうか?

高橋:先ほどの現場ヒアリングで出てきた意見としては、まずはお客様と一緒に“大きな絵”を描ける能力が必要だと思っています。その絵はICTありきの絵ではなくて、お客様のビジネス環境や業務変化の視点から描けるといいですね。もう一つは、そういう大きな絵の中でICTがどのように貢献できるかというアイデアを出せる発想力になると思います。私も含めて「言うは易し行うは難し」ではありますが・・・。

入江:確かに「創造性」とか「ビジネスクリエーション」という言葉は「提案型」の先にありそうな言葉で、習得も実践も難しそうな領域に感じますね。それにしても、テクノロジーの変化に人材育成が追い付いていくのは大変ですね。

高橋:人間が変わるのはそう容易ではないですから、人材の能力がビジネスの変化を頑張ってキャッチアップしていくという構造は常にあると思いますよ。だからこそ、これから何が起こるのか、その中で日本ユニシスがどんな打ち手を考えているのか、現場は何を課題と考えているのかに関して、ビジネスの情報収集と自分で仮説を考えるという行為を忘れてしまうと、人材育成担当としては致命的だと思っています。