佐藤 雄一郎
学校法人産業能率大学総合研究所 マーケティングセンター長

 今回は、「人材育成に関する実態調査(2011年度版)」をもとに、企業における人事・人材開発育成担当者が、自社における育成環境をどのように捉えているのかを整理していきます。

図1:Q貴社における育成環境について
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 この設問は、4段階評価(4「当てはまらない」、3「ややあてはまらない」、2「ややあてはまる」、1「あてはまる」)を用いて回答してもらいました。質問は、育成環境について課題となっていることを尋ねておりますので、あてはまらないと回答している方が肯定的な回答になります。データの見方として、1~4それぞれの回答割合を見るとともに、肯定的回答割合(3「ややあてはまらない」と4「あてはまらない」の合計)を見ていきます。

 加えて、便宜的に、4「当てはまらない」を4点、3「ややあてはまらない」を3点、2「ややあてはまる」を2点、1「あてはまる」を1点として、全回答を加重平均して、平均値を確認する方法もあります。値は1~4の間なので、中央値が2.5になります。2.5を上回れば肯定的、2.5を下回れば否定的な傾向であるといえます。

 全体結果として、以下のようにまとめられます。

図2:各回答の比率の図
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 即戦力志向のもと、育成のスピードアップについて話題になっているケースが見受けられました。しかし、実際の育成に関しては、「相応の期間をかけて育成する」という状況にはそれほど変化がないようです。

 一方、否定的な回答として特に目立つのは、部下指導・OJTに関する課題です。質問の9~11からそれが見て取れます。総括すると、プレイングマネジャー化によるマネジャーの指導時間不足、職場での指導人材の不足などが挙げられます。特に10の「指導時間の不足」と11の「指導人材の不足」については、否定的回答割合が70%を超えており、部下指導やOJTを十分に行える環境が整っていないと認識しています。

 また、育成環境の変化については、5の「成果へのプレッシャー」と6の「メンバーのモチベーションの向上」、7の「育成能力・スキルの多岐化」の3つの質問の否定的回答割合が60%を超えています。成果へのプレッシャーが高まる中で、メンバーのモチベーションをどのようにして高め、育成していくのかが鍵をにぎるものと思われます。