上層部の合意を取るのは倉持部長になるだろうから、その辺はちょっとだけ気が楽だけれど…。受講者の上司にあたる課長クラスには営業会議で周知してもらうにしても、さらに研修の事前案内で、研修後のフォローまで含めて、重々お願いする必要があるかもしれない。営業の人が忙しいからといって、研修に出席すれば終わりなんて思われたら困る。日々の業務で活用できているかまで追いかけるってことを分かってもらわないと、せっかく研修しても意味がなかったなんてことになったらもったいない。

 こんな風に色々考えながら、私は企画書に数値と測定方法まで決めた目標を書き、それらを裏付ける数字を寺崎さんの資料から拾っていった。

綿密な目標設定を褒められた、けど・・・

 翌日、がんばって作った資料を永塚さんに見せた。

「ずいぶん厳密に目標設定したな。よく書けてるけど、この研修担当は大変だぞ」
「え?」

 私はその一言で固まってしまった。今までは、指示された研修の目標設定の部分だけやればいいと思っていたのだ。

「担当は倉持部長…じゃないですかね?」
「部長は担当を持たないけど」

 永塚さんの視線が厳しかった。

「…担当は私っていう、そういうことですか?」
「この前の会議の感じでは、そこまで決めてなかったと思うけど、これを出しちゃったらなぁ」
「ひょえ~~。提案した人の責任ってことですかぁ」

 私は、思わず変な悲鳴を上げてしまった。うるさいとばかりに、永塚さんに睨まれる。こんな厳しい目標の研修、どうやってやればいいんだろう。もっと、簡単にしておけば…。後悔は先に立たなかった。