「ええ、実際のお客様の分析が、研修中にできてしまうと嬉しいですね」
「目標2の方は、下期、つまり10月から来年3月までの期間でということだと思いますが、中間で状況の把握や上司の方なども交えたフォローアップはできますか?」
「この研修は、専務を筆頭に営業や営業企画の部長からも合意が取れていますので、そちらからフォローやプレッシャーをかけてもらうことは可能だと思っています。研修後、下期の終了まで何もしないのではなくて、途中で課題提出やフォローも組み込んでいただければと思います」
「では、2カ月ごとにレポートを出してもらいましょう。そうしたら3回提出することになって、必然的に3件の実績もクリアできると思います。ご担当の元谷さんには、お手間かもしれませんが」
「いえ、それが私の仕事ですし。みんなが提出してくれるよう、手段を尽くします!」

私の心はレベルアップ総研で決まりなんだが…

 私の勢いに、最上さんがちょっとだけ笑ったように見えた。深くうなずきながら、最上さんは話を続ける。

「難関は目標3のリザルトですね。1、2を達成したからといって、3が達成できるとは限りません」
「…そう、ですよね」

 確かに売上予算100%達成というのは、目標1、2どころか、研修との因果関係が不明確なのだ。研修自体をやらなくても、営業がすごくがんばるとか、新商品がヒットしてしまって100%達成してしまうかもしれない。

「この目標は営業企画の人の発案です。知識やスキルが身についたとしても、今年度の営業目標を達成しなかったら意味がないと…。私も、研修の価値を理解してもらうために、チャレンジしたいなと思いまして」 「チャレンジ…、ですか」

 最上さんは黙って考えているようだった。

 こういう目標で研修をやるってことは、ひとつのチャレンジなんだ。私にとっても、講師にとっても、受講者やうちの会社にとっても。これについて言及しなかったパフォーマンス・ラーニングの山本さんや、研修の領域ではないと言ったドラゴン・コンサルティングの西園寺さん。研修をやってる人たちなのに、どうして研修の価値をこういう形で示そうとしないんだろう。

「当社の研修をご実施いただいても、目標3を絶対に達成させますとはお約束はできません。ですが、最善をつくさせていただきましょう。そのためには、貴社から情報をいただいたり、色々とご協力のお願いすることになります」
「研修をクラスルームの中だけで終わりにしたくないのです。受講者だけでなく、他のステークホルダーの巻き込みも必要になることはわかっています」
「そのあたりは、今川のやっている研修の影響ですか」
「そうかもしれません」

 確か、永塚さんと今川先生がやっているニューリーダー研修の影響は大きいと思う。

「分かりました。では、今までのお話でご提案させていただきたいと思います」
「お見積も一緒にいただけますか?」
「はい。では明日中にメールでご連絡差し上げます」
「宜しくお願いします」

 最上さんをお見送りし、私はようやく話の通じる人に会えたという気持で嬉しくなっていた。