4ステップの実践例

 冒頭の会話で、上司がこのステップを踏んだとしたなら、次のような違った展開になるでしょう。

上司:「うちの職場で最近、気になることはあるか?」
部下:「残業が多くて、メンバーの会話も減ってきているのが気がかりです」
上司:「どうして気がかりなのか?」(糸口から意味を探る質問)

部下:「うちのチームって、互いに協力するところが他のチームにはない良さじゃないですか。その強みが薄れていってしまう気がするんです」
上司:「チームの一体感が大切ということかな?」(価値観の仮説について尋ねる質問)

部下:「一体感というよりも、お互いの良さを出し合って仕事をするところですね」
上司:「メンバーの個性を活かすということ?」(仮説を検証し、再質問)

部下:「そうです。うちのチームの人って皆、個性的じゃないですか?」
上司:「たとえば、どんな経験があったか教えてもらえるかな?」(物語を聞くための質問)

部下:「同期の山本さんはよく言えば自由、悪く言えばいい加減な性格じゃないですか?私は反対に、計画的じゃないといやなんです。2人がペアを組んだとき、最初は最悪でした。仕事を始める前から、ぶつかり合って、最初の1週間は仕事の進め方の議論ばかりで何も進みませんでした。けれども不思議なことに、2週目に入るとお互いに、相手の意見にも一理あるなと思えてきたんです。その後、結局は、最高の仕事ができました。たぶん、山本さんだけだと期限には間に合っていなかったと思うし、私だけだとあれだけ遊び心のある仕事にはならなかったと思います」