船見真鈴
マイカ ヒューマンラボ 代表取締役

 アンチエイジングを専門とする医師が、「最近の若者の老化が早いことが気になる」と話していた ―― 。これは編集者の友人に聞いた話ですが、この言葉には頷(うなず)けると感じる方は少なくないことでしょう。

 私も日々、覇気のない若者が多いと気になっているひとりでした。駅で、十数段の階段を昇った方が早いにもかかわらず、エスカレーターへと続く長い列に背中を丸めながら並んでいる10~20代の男女が大勢います。企業で若手の面談をしていても、はつらつとしてエネルギーに満ちている人には残念ながらなかなかお会いできません。疲れていて、休日は寝ているだけという人が思った以上に多いことに愕然とします。まるで老人のようだなと感じます。

 体はもちろん、心を元気にするためにもハイパフォーマンスを保つためにも、生活習慣の質を上げることは非常に重要です。どんなに仕事のスキルを上げても、生活習慣が乱れていては万全の態勢で業務に臨めません。とにもかくにもまず食事、運動、休養を見直すこと。このことの大切さを、ストレスで疲弊する人たちと接していて痛感しています。前回は食事について書きましたので、今回は運動の重要性に触れたいと思います。

運動には抗うつ剤と同様の効果がある

 アメリカのデューク大学が興味深い実験を行っています。重度のうつ病患者を対象に、薬と運動がそれぞれどう効果を上げるかを研究したのです。薬の服用のみで運動は一切しないグループ、運動と服薬を並行して行うグループ、そして薬は飲まずに運動だけをするグループ ―― の3つのグループに分けて行いました。薬は抗うつ薬、運動は30分の有酸素運動を週に3回行いました。

 さて、その結果ですが、3つのグループの回復率はほぼ同じでした。つまり、運動には薬と同じぐらいの効果があったということです。加えて、うつ病の発率は40%と言われているところ、運動を継続したグループは再発率が8%にまで減少したというのです。運動がいかにストレス解消や心の健康増進に重要かを示唆した結果といえます。

 企業で社員の方々と面談していると、日ごろから運動を習慣にしている人はストレスに強いということを実感します。元気な人ほど運動習慣があることがわかります。彼らはストレス耐性が高く、逆にストレスをためこんで疲れている人たちは、以前から運動習慣がなかったというケースがとても多いのです。