佐藤 雄一郎
学校法人産業能率大学総合研究所 マーケティングセンター長

 今回は、「人材育成に関する実態調査(2011年度版)」をもとに、経営層・人材開発部門、現場においてそれぞれ人材育成に対してどのように取り組んでいるのかを整理していきます。

図1:貴社における人材育成の取り組み状況について
[画像のクリックで拡大表示]

 この設問は、4段階評価(4「当てはまる」、3「やや当てはまる」、2「やや当てはまらない」、1「当てはまらない」)を用いて回答してもらいました。データの見方として、1~4それぞれの回答割合を見るとともに、肯定的回答割合(3「やや当てはまる」と4「当てはまる」の合計)を見ていきます。

 加えて、便宜的に、4「当てはまる」を4点、3「やや当てはまる」を3点、2「やや当てはまらない」を2点、1「当てはまらない」を1点として、全回答を加重平均して、平均値を確認する方法もあります。値は1~4の間なので、中央値が2.5になります。2.5を上回れば肯定的、2.5を下回れば否定的な傾向であるといえます。

 全体結果として、以下のようにまとめられます。

図2:各回答の比率の図
[画像のクリックで拡大表示]

 個別の設問について、人材育成の取り組み状況で肯定的な回答が多かったのは、「10.自社の現場ではメンバー同士で仕事を教えあっている」、「3.自社の経営層は、現場に直接メッセージを伝えている」、「5.人材開発部門は、現場とコミュニケーションを取りながら人材育成を進めている」でした。一方、否定的な回答で特に目立ったのは「20.自社の現場では、マネジャーがメンバーの自己啓発の学習テーマ・内容の選定に一緒になって関わっている」、「15.自社の現場では、研修などOff-JTの学習内容をマネジャーとメンバーの間で共有できている」、「19.自社の現場では、マネジャーがメンバーの自己啓発を積極的に支援している」でした。

 また、人材育成の取組み状況について、経営層(該当回答:No.1~4)、人材開発部門(該当回答:No.5~8)、現場別(該当回答:No.9~22)にみると、経営層はある程度現場に直接メッセージを発信しているが、人材開発部門へは施策について明確な指示をあまり出していない状況が見受けられます。一方、人材開発部門は現場の課題を把握するためにコミュニケーションを取りながら施策を進めているが、現場からは評価されていない様子です。最後に現場の状況をみると、メンバー同士では仕事を教えあっているものの、人材育成や自己啓発に関するマネジャー・OJT担当者・メンバー間の連携不足やOff-JTで学んだ内容の職場における展開が不足している状況です。