「続いて寺崎さん、業務内容に関する報告をお願いします」

 倉持部長が寺崎さんを指名した。寺崎さんは立ち上がって、資料を配る。

「では、お話させていただきます。まず資料の1枚目をご覧ください」

 寺崎さんの話は、ちょっと時間がかかった。この前のインタビューのときに、次のニューリーダー研修が終わると業務プロセスが見えるというような話だったけれど、その成果が反映されたということなのだろう。

業務プロセスを5~9個に分けて具体化する

 業務プロセスはざっくりと、商品企画・広告、システム管理、物流管理、代金収納管理、顧客対応に分かれていた。説明を聞いていると、今、行われている業務と似ている部分もあるなぁと思うし、まったく違う部分もあるなぁとも思う。商品企画・広告というのは、商品ラインナップと売り方を考えるらしい。今の営業企画や営業と開発の業務が混ざった感じがする。今までは縦割り体制だったから、ここが肝になるのかな。システム管理というのは、直販を行うシステムの構築やサイトの更新などの業務。確か、うちの会社のホームページやメールサーバの管理などは情報システム部がやっているから、そこと似ている部分もあるだろう。このシステムは顧客管理もできることが前提のようだったから、営業の仕事なんかも混ざってる感じがする。

 物流管理というのは、直販用の在庫を管理しつつ、個別の発送を行う。普段は物流部門が倉庫で管理していて、そこからトラックで量販店などに商品が運ばれていく。個人宛の小口で、プレゼント包装などの対応もしなくてはならないだろうから、かなり勝手が違いそうだ。代金収納管理は、代金の支払いを管理する。これは経理と営業の仕事と重なっているかなぁ。顧客対応は、注文する前から到着までの問い合わせに応じる。メールだけでなく、電話やFAXなどの問い合わせや注文にも対応するらしい。この業務は保守などのアフターフォローを行っているコールセンターの業務に近いのかなぁ。いや、むしろインターネット販売では、営業の仕事そのものといえるのかもしれない。

 話を聞くと、前よりは具体的にイメージができるようになった。しかし、これから具体的な業務を考えるって、膨大な量になってしまいそうだ…。

「寺崎さんに何か質問がある方は?」
「では、続いて業務ごとの人材像を考えていくわけですが、商品・広告企画を練習に使ってみましょうか。まず業務プロセスを、5~9くらいのプロセスに分けます。寺崎さんの発表では、5個に分かれていたので、そのまま使いましょうか」

 倉持部長はホワイトボードに、マーケットリサーチ、商品企画、広告戦略、サイト制作、運営・フィードバックと、間に矢印を挟みながら書き出した。最後の運営・フィードバックからは、ぐるりとマーケットリサーチへ矢印が回りこんでいる。これらは、寺崎さんの資料の中で大きなプロセスとして定義してあった5つの項目だ。

「業務プロセスは、マーケットリサーチから始まり、最後の運営・フィードバックまでですが、循環するようにマーケットリサーチに戻るという話でした。では、マーケットリサーチというのは、新部門においては具体的に何をやるのでしょうか。皆さんに付箋をお渡ししますので、『○○のときに、○○ができる』というような形で、思いついたことを書いてください。ここは発散の段階ですから、細かいことは気にせず、どんどん書き出してください。皆さんに書いていただいた付箋はグループ分けします。それを基に抜けもれを確認して、まとめるという作業を行います。まず10分くらいやってみましょうか」

 業務プロセスを5~9くらいに分割されたから、次は具体的に細かいことを発散して、帰納的にまとめていくという話になるっていうことか。こういう考え方のプロセスも後で必要になるかもしれない。私は倉持部長の説明をメモした。

 そして、みんなは指示にしたがって、しばらく黙々と付箋に向かった。