入江:ところで「フォーマルな人脈作り」と「インフォーマルな人脈作り」は、高橋さんの中でどのように棲み分けが行われているのですか?

高橋:仕事上の「巻き込み」という観点でいえば、私の中では時間軸が異なりますね(図3)。インフォーマル、例えば社内のクラシック音楽鑑賞サークルで日頃から仲良くさせて頂いていた営業部門のAさんという方が、ある日、フォーマルな営業力強化施策の重要な局面でご一緒する方だったりすることがある訳です。この場合、インフォーマルで中長期的に構築してきた人脈が、フォーマルの比較的短期的な場面で役立つわけです。ただし仕事上の「巻き込み」ではなく、広く「人的ネットワークの構築」という観点でいえば、フォーマルで活かすためにインフォーマルでの人的ネットワーク構築を行っている訳ではないですし、その逆も然りです。様々な人との接点を大切にする中で、人脈が広がり、結果としてそれらがフォーマルにもインフォーマルにも影響し合っているとご理解を頂ければと思います。

入江:ところで人材開発施策の実行においてこのような「巻き込み」が必要と思われる理由は何ですか。ある施策に様々な人が関係してくると纏まりがなく、仕事がやりづらくなるのではないかと思うのですが。

よい結果が出るから「巻き込む」ことが重要

高橋:巻き込んだほうが「良い結果」が出るからですね。確かにいろいろな人を巻き込むと、比例していろいろな意見が出てくるのは事実です。しかし、いろいろな意見をまとめるのは人材開発担当者のスキルの問題だと思います。私も最初は苦労しましたが、今は逆に現場を巻き込まないとよい結果が出せないと考えています。

入江:よい結果とは具体的に何ですか?

高橋:いくつかありますが、まずは「現場のニーズ」に本当にフィットした研修が実施できることですね。例えば、研修参加者のマネージャレベルの皆さんからは「現在直面している課題」や「実務における研修内容の活用」という面からフィードバックを頂けるので、助かります。これによって、私たちの部門だけで考えていても解決策が出ないようなことも、比較的短期間に解決することが多いですね。また、そこで多くの新しいアイデアが生れたりもします。いろいろな部門の方に集まって頂いてミーティング形式でヒアリングすることもあります。この時には、「A部門はこう考えているけど、B部門も同じことを考えていた」とか「C部門の課題はこうだけど、それはD部門でも同じだった」などという、部門横断的な認識の繋がりをコーディネートすることもできます。「巻き込み」そのものは新たな価値が生れるとてもクリエイティブな過程だと思います。