佐藤 雄一郎
学校法人産業能率大学総合研究所 マーケティングセンター長

 今回は、「人材育成に関する実態調査(2011年度版)」をもとに、人材育成担当者の視点からみた、自社における3年前と比較した人材育成の効果について整理していきます。

図1:貴社における3年前と比較した人材育成の効果について
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 この設問は、4段階評価(4「当てはまる」、3「やや当てはまる」、2「やや当てはまらない」、1「当てはまらない」)を用いて回答してもらいました。データの見方として、1~4それぞれの回答割合を見るとともに、肯定的回答割合(3「やや当てはまる」と4「当てはまる」の合計)を見ていきます。

 加えて、便宜的に、4「当てはまる」を4点、3「やや当てはまる」を3点、2「やや当てはまらない」を2点、1「当てはまらない」を1点として、全回答を加重平均して、平均値を確認する方法もあります。値は1~4の間なので、中央値が2.5になります。2.5を上回れば肯定的、2.5を下回れば否定的な傾向であるといえます。

 全体結果として、以下のようにまとめられます。

図2:各回答の比率
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 個別の設問について、3年前と比較した人材育成の効果で肯定的な回答が多かったのは、「1.業務上必要な知識の向上(平均値:2.8)」、「2.社外でも通用する専門性の向上(平均値:2.7)」、「4.管理職の役割認識の向上(平均値:2.7)」など、組織が求める基本的な知識・スキル・役割などに関するものでした。一方、「14.メンバーの学習に対する取組み姿勢・行動(平均値:2.3)」や「15.学習する風土の醸成(平均値:2.4)」に関しては否定的な回答が相対的に多い状況でした。

 特に、知識・スキル等の向上や役割認識の醸成など、階層・役割や部門・職種ごとに必要な基本事項の習得に関しては肯定的な回答が多い状況です。学習する風土醸成に関しては、発展途上と捉えているものと思われます。いかに個々人が学んだ内容を組織として共有していくのか、風土として広げていくのかという点に課題があるものと思われます。