船見真鈴
マイカ ヒューマンラボ 代表取締役

 パワハラを受けて精神疾患になったり会社を辞める人が増加するなど、パワハラが社会問題化しています。労働局に寄せられる「職場でのいじめ、いやがらせ」に関する相談は、この数年で急増していますし、カウンセリングの現場でもパワハラに関する相談件数が増えています。そんな折、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」が1月末、パワーハラスメントの予防・解決に向け、その概念や取り組みについてまとめた報告書を発表しました。職場におけるパワーハラスメントの定義が初めて公表されたことにもなります。これを受け、私たちはどんな取り組みをしていけばいいのでしょうか。

 このニュースが流れた翌日、ある情報番組が視聴者に「あなたはパワハラを受けたことがありますか?」というアンケートを取っていました。平日の夕方に生放送されている番組で、主な視聴者は主婦層です。いったいどんな結果が出るのかと興味深く見ていました。詳しい数字は覚えていませんが、「ある」と答えた人の数が、「ない」と答えた人の倍以上という結果でした。かつて働いていた会社で受けた、あるいはパート先で受けたということなのでしょうが、この結果にはいささか驚きました。

 パワハラという言葉が浸透したことによって声を上げやすくなったのがその一番の要因だと思います。それはつまり、それが本当にパワハラであるか否かは別として、日常的に職場で嫌な思いをしている人がとても多いということの証左でもあります。テレビ番組のアンケート結果も、そのような実態を反映しているのかもしれません。

パワハラになる6つの行為

 では、今回示されたパワハラの定義とは、いったいどんなものなのでしょう。職場のパワーハラスメントとは、

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」

としています。つまり、パワーを利用して必要以上の苦痛を与えることです。上司から部下に対するケースが多いのですが、社員から非正規社員に対して行われることもあります。中には、部下から上司に対してというケースもあるようです。具体的には、以下の6つの行為がそれに当たるとされました。

(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

 あなたの周囲に、これらの行為をしている人はいないでしょうか?

 私がこれまで受けた相談の中には、殴る蹴るの身体的暴力を受けた方もいましたし、人格を否定する発言を繰り返し受けていた人もいます。聴いているだけで辛くなってくるほどです。パワハラは、人を傷つける行為ですから、絶対に許してはいけません。もしもあなたの周囲でこのような行為が行われているなら、見て見ぬふりをせずにすぐに止めさせるようアクションを起こしてください。まずはしかるべき人に相談してください。