大雑把に分けると、自社についての知識と、社内ルールといううちの会社独自なものの2つ。これに一般的なビジネス知識などが加わって、計3つのカテゴリーで構成されている。

 自社についての知識では、社史について総務の解説から入って、各部長さんが事業部について紹介してくださった。このあたりは偉い人の登壇が続いていたから、研修事務局側としては日時の調整などが大変かもしれない。社内ルールは、色々な制度の説明や勤怠管理、会議室の予約の仕方など、人事やシステム部門が説明をしていた。コンプライアンスなどもあるし、勤怠はすぐに自分たちで付けられないと困るから、研修の最初に入れなくてはならない。一般的なビジネス知識としては、まずはビジネスマナー。それからPDCAやメールの書き方、報告の仕方、時間管理などだ。それらは、研修中に使う機会が何度もあって、永塚さんから繰り返し指導を受けた。

 研修のスタイルは、最初は講義形式の「聴く」ものが中心だったが、途中からはチーム活動による実践形式になっていった。チームごとに担当の主力製品を決め、バリューチェーンという考え方を中心に各部門の役割を調べるプロジェクトを行った。その後、工場実習で現場の空気を体感。最後は、それぞれの主力製品について得た知識をまとめ、発表会を行った。このあたりは、永塚さんが指導していた。

思い返すと効果を得るためによく練り上げられた研修だった

 この発表によって、主力製品がどのように作られ、販売されているのか、なんとなくイメージをつかむことができた。また、そうした製品のために各部門が果たしている役割も見えてきた。加えて、一般的なビジネス知識を身につけ、「できる」ようになっていた。

 これが約4週間にわたった研修の概要である。そこから先は、配属により異なる。工場に配属された場合は、工場に付随している教育訓練部の主幹で3カ月の研修、その他に配属された場合は部門内でOJTが行われる。

 実際に研修を受けた感想としては、とにかく毎日やることがたくさんあって忙しかった。もしあれ以上内容が多かったら、実際の業務が始まる前に参ってしまう人も出たかもしれない。それでは「やる気をもって仕事のスタートを切れる」という目標とは逆に、「仕事についていけるか不安」という状態になってしまって、元も子もないだろう。そういう意味では絶妙なカリキュラムだった。最後の発表は、どのチームも、皆で力を合わせて乗り越えられたという達成感があったように思う。それは、「やる気を持って仕事のスタートを切れる」という目標につながっていたんじゃないかな。もし内容が簡単すぎたら、そうした達成感は得られなかったに違いないのだから。

 それに、時間管理やPDCAなどのスキルは、異なる課題が与えられたとしても、身につけることはできる。それを「自社を知る」という目的にそって、一石二鳥の課題に仕立て挙げたのが、主力製品のバリューチェーンを調べるプロジェクトだった。また、工場に行く前に、ある程度製品についてのバリューチェーンを把握できていたことも良かった。製造ラインの端っこに入れてもらった際、それがどういう役割を果たしているのか、なんとなく理解することができたからだ。もし、何も分からず工場に行ったら、「こんな風に作っているんだ!」「地道な作業で大変」などと単に思うだけだったかもしれない。

 私が受けた新人研修は、「理解」してほしいこと「できて」ほしいこと、学習の順番、次々に登壇する多くの人たち…といった要素を上手く調整し、組み合わせた研修だったんだ。受けているときは精一杯だったから、ちっとも気が付かなかったけれど、効果を得るためによく練り上げられた研修だ。必要なスキルを抽出して外注するなんていう単純な研修とは、ちょっと違う。

 振り返ってみたら、ますます大変さが明確になってしまって、それだけで少し疲れてしまった。明日の引継ぎが思いやられる。