中村 文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

プロフェッショナルの働き方
『プロフェッショナルの働き方』
高橋 俊介 著 / PHP研究所 / 840円(税込) / 224ページ

 「ピラミッド組織」「45歳現場引退モデル」の崩壊 ― 。若いうちは現場で活躍し、45歳になる頃には第一線を離れて管理職につく。そんな「これまでの」組織の在り方に大きな変化が起こっていることは紛れもない現実である。ビジネス環境の変化、ビジネスモデルの変化、働く人の意識や価値観の変化など、その理由として考えられることは枚挙にいとまがない。著者が数年前に20代を対象に行った長期的雇用に関する意識調査では、長く働きたいかどうかに対し最も相関があるのは「成長予感」だったという。「成長予感」の感じられない「ピラミッド組織」には魅力を感じないということであろう。

 本書では、第一線で価値提供を続ける「プロフェッショナル」に管理職と同等の権限を与え、管理職が担ってきた仕事を分解することを提唱している。さらにその「プロフェッショナル」に求められる10の条件が挙げられている。

 本書に紹介されているキャリア研究の世界的権威であるスタンフォード大学のクランボルツ教授の提唱する「計画的偶然性理論」によれば、キャリアの8割は予想外の偶発的な出来事によって決定されるとのこと。つまり、変化の激しい時代には、立てた計画通りに進まない方が自然であるので、キャリアに関しても、長期的な昇進計画を立ててその通りに進んでいくというより、いかにチャンスを引きよせ、活かしていくかの能力が必要なのであろう。その意味でも「プロフェッショナル」であることが求められているのである。

 思い返すと、筆者が以前勤務していたP&Gには、ここで記述されているようないわゆる「管理職」は存在しなかったように思う。在籍していたのはすでに10年以上前のことではあるが、上から下まで全員が「プロフェッショナル」であることが求められている組織であった。人事、人材育成に関わる人にとっては、組織創りの根幹の方針に関わることとして考えたいテーマである。

関連図書

『When Core Values Are Strategic』
Rick Tocquigny 著 / FT Press / $27.99 / 272ページ