船見真鈴
マイカ ヒューマンラボ 代表取締役

 企業でコンサルテーションをしていると、「適性」に関するご相談を受けることがしばしばあります。

「彼にはリーダーとしての適性があるでしょうか?」
「今の職種に適性がないから、メンタル不調になっているのでしょうか?」

 こうしたご質問を受けることがとても多いのです。実際、少しでも仕事がスムーズに進まないと、「仕事が合っていないのだ」と判断し、すぐに異動をさせるということを繰り返している組織もあります。

 配置を考えるにあたり、適性はとても重要です。なおかつとても難しい問題でもあります。誰もが向いているポジションに就けるわけではないですし、本人は向いていると思っているのに実際はそうではなかったり、逆のパターンもあります。

 適性に関するご相談を受けた際には、カウンセラーが実際にご本人と面談を行うこともあります。「ご本人がどう感じているか」「どんなことに興味があるのか」「何を大切にしているのか」「どんな実績を残してきたのか」などを面談で話し、ときには検査なども行ってジャッジをしていきます。しかし、彼らの話を聴いていくと、適性だけの問題で片付けられないケースが多いことがわかります。ご本人も「自分はこの仕事に向いていないのではないか」という不安を抱え、自信を失っていることも多いのですが、実はその大元の原因は適性とは別のところにあることも少なくないのです。

短所を強く意識させると「自分はダメだ」と感じる

 自らを奮い立たせるのが得意な経営者や管理職は、自分の短所を上手に伸ばしたりカバーする方法を身につけていることが多いものです。だからこそ、人にも同じことを求めがちです。彼らのような立場の人たちがよく言うのが、「(社員や部下に)短所を克服してもらいたいんです」という言葉。ダメなところを伸ばして強くなってもらいたいという考えです。しかし、この期待が逆効果を生むことがあるのです。

「ここが苦手なのだから克服しなさい」
「弱点を強化しないと成績が伸びないぞ」

 こうしたやり方で短所を強く認識させるのは、「君はダメだ」というメッセージを与えていることと同じです。期待しているからこそ短所を克服しろと言うんだと指導する側は思っているのかもしれません。しかし、受け取る側が同様に感じとるとは限りません。もちろん短所を直せるならそれに越したことはありませんが、そもそも人にとって短所を直すという行為は非常に難しいもの。短所に向き合うこと自体、非常にストレスになり、仕事の効率を下げることになりかねません。

 適性の話題からなぜここに話が飛んだかというと、自分の適性に自信を失っている人の中には、上司や周囲からダメ出しばかりされている人が多いからです。