監修:倉重英樹
株式会社シグマクシス 代表取締役会長
ビジネスプロセス革新協議会(BPIA) 会長

 活き活きした会社の作り方研究会は、BPIA会長の倉重英樹氏が代表を務めるシグマクシスを徹底的に分解していくことで、次の2つを研究する。1つは、これからの日本企業にとって必要な多様性および変化のスピードに対応できる柔軟な組織や人事の仕組み。もう1つは、モチベーション高く働くことができ、しかもワーク・ライフ・バランスを通じて自己実現できる仕組み。1回目はシグマクシスの概要など総論的な話を展開した。

 第2回目からは各論を展開していく。今回のテーマは「ワークスタイル/プロジェクトワーク」である。プロジェクトワークは、社員がモチベーション高く働く環境を実現する一つの方法であると倉重氏は考え、シグマクシスのコンサルタントはすべてプロジェクトスタイルで働いている。

「シグマクシスがなぜプロジェクトワークを採用しているのか。プロジェクトワークをうまく機能させるためにはどんな要件が必要なのか。これらについて掘り下げていきたい」(ナビゲータの小田毘古氏)

 そこで今回は倉重氏の会長補佐であり、コンサルタントとして自らもプロジェクト単位で働き、顧客企業にもプロジェクトワークを導入した経験をもつ武藤壮平氏が、「新たな価値を生み出す組織のあり方~プロジェクトワークの活用~」というテーマで講演を行った。武藤氏の講演内容は以下の通りである。

プロジェクトワークで高いモチベーションを維持

 モチベーション、イノベーション、スピードを創出するための手段として、私たちはプロジェクト、およびプロジェクトワークが有効だと考えている。プロジェクト、プロジェクトワークとは何かについて語る前に、「なぜ、モチベーションの創出がこれからの企業にとって重要なのか」を考えてみたい。

 社員の意識に関する調査結果を見てほしい。2005年に米の調査会社ギャラップが日本人1000人を対象に行った調査によると、仕事への熱意と会社への帰属意識について約9割の人が「あまりない」「全くない」と答えている。また2005年に野村総合研究所が20~30代正社員に行った仕事に対するモチベーションに関する調査においては、約75%の人が「仕事に対して無気力感がある」と回答。その他にも4割超の人が「3年前と比較して成長した実感なし」「潜在的転職希望者」と答えていた。さらに日本生産性本部メンタルヘルス研究所が2005年に行った労働組合のメンタルヘルス取り組み調査によると、約7割の組合が心の病が増加傾向にあると回答している。これらはいずれも2005年の調査だが、現在までも改善の兆しはないように思える。つまり、モチベーションに対して経営のアクションはなかなか行われていないのではないか。

 前回もお話ししたように、高いモチベーションを維持するには「やるべきこと」「やりたいこと」「できること」の3つの輪の重なりをできるだけ大きくすることである。まずやりたいことをやるべきことにするための第一歩は、企画提案をすること。その企画が組織で承認されれば、やりたいことは組織の中でのやるべきことに変わる。後はできることをやるべきことにいかに広げていくか。一人ではできることも限られている。自分の能力を上げるには時間がかかるが、必要な能力を持った人とチームを組めばそれがすぐに可能になるる ―― つまり、コラボレーションすることで3つの輪の重なりを最大化できるのだ。企画した案件をチームでコラボレーションして仕事をする。これはまさにプロジェクトワークそのものといってもいい。