研修室の中を歩き回り、皆が真剣に問題に取り組んでいるか様子をチェックする。5分経って、半分くらいの人は書き終えたようだった。

「まだ途中の人もいますが、ポイントを確認してみましょう。その後、もうちょっと時間を取るので、ポイントにそってメールをより良く修正してみてください。グループの共有はその後でやります」

 私はテキストをさかのぼって、宛名としてTo、Cc、Bccのどれを使うべきかや、件名が一目で内容が伝わるかどうか。また、本文の書き出しに宛先や挨拶や名乗りがあるかどうか、簡単におさらいをした。そして予告通り時間を取って、皆が書き終えるのを待った。

グループワークで考える要素も入れ込む

「ではグループの中で、自分はどういう点に注意して、どんなメールを書いたか発表しあってください。人の発表を聞きながら、いいなと思う点があったらメモしてください。最後にグループで一番よいと思うメールを決めてください。30分でグループナンバー1が決まるようにお願いします。はじめてください」

 私の指示にそって、ぎこちなくグループの中で会話が始まった。私はグループの様子に気を配りながら、クラスを回った。特に口を挟まなければならないような勘違いをしているグループはない。

 ただeメールの書き方を教えたり練習させるのではなく、話し合わせるという手法を取り入れたのは、永塚さんからの指導によるものだ。仕事の中には正解がないものが沢山あって、そこは学生時代と一番大きく変わる点だから、自分達で考えさせるという経験を研修中から積ませておきたい。これが永塚さんの意見だった。

 そこで私はeメールの研修の中でも、自分たちで時間を管理したり、目標を考えさせる(今回の場合はグループナンバー1を選ぶ)ことによって、皆の自主性や自律性を引き出していこうと考えた。

「何人共有が終わっていますか? 時間の使い方も考えてやってくださいね。タイムキーパーの係を決めるとか。今、半分を過ぎたので、あと15分でグループナンバー1を決めてください」

 まだ皆は時間の管理を自分たちですることに慣れていないから、半分の時点で声をかけた。時計を見て、慌てるグループがいくつかある。念のため3分前にもう一度声をかけ、30分のワーク時間が終わった。