中村 文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

『個人、チーム、組織を伸ばす 目標管理の教科書』
『個人、チーム、組織を伸ばす 目標管理の教科書』
五十嵐 英憲 著 / ダイヤモンド社 / 1,890円(税込) / 216ページ

 MBOとは、ピーター・F・ドラッカーによって提唱された経営管理手法「Management By Objectives And Self-Control」の略称である。忠実に翻訳するとすれば「チャレンジ目標の達成を意欲的、かつ自律的に追い求めるような仕事の進め方」であると言う。ところが、それを「上司が部下の目標を管理すること」あるいは「人事評価の仕組み」などと理解しているところから歪みが生じている、と著者は訴える。本来は、働く人の動機づけに主眼をおいたマネジメントの考え方であり方法論であるものを、評価し賃金格差をつけるために活用されているのであれば、うまくいくはずがない。

 本書では、その誤解を解き、本来の目的に沿った活用方法を教えてくれる。個人のチャレンジ目標の設定、部下の自律的目標達成に向けてリーダーがすべきこと、金銭的報酬の捉え方や承認欲求をどう満たすか、フィードバックや振り返りミーティングの行い方など、とても具体的である。また、ノルマ管理とは何が異なるかなど、それらの背景にある理論の解説もあるので納得しやすい。

 「MBOを導入したけれどもうまくいっていない」という企業の人事、部下を持つリーダーにお勧めしたい1冊。ぜひ、この夏休みに読んでもらいたい。