シグマクシスが実践する「学ぶ組織」

 ではシグマクシスではどのようにしてこの仕組みを実現しているのか。エンジンとなっているのは、「シグマクシスKMサイクル」という、価値創造サイクルを生み出すナレッジマネジメントの仕組みである。自らの持つ情報やスキルを発信する動機付けを促進し、

「Share」→「Access」→「Leverage」→「Create」→「Share」…

というサイクルを回す。このサイクル回すために用意されている仕組みは、ラーニング・プログラムやKMシステム、さらにナビゲーション・システムとしてのプロフェッショナル人事、コラボレーションの仕組みとして組織、デジタルオフィス、オペレーションシステム、ダイバーシティ、外部団体参画などの制度だ。

 ラーニング・プログラムは社員にインプットを提供するためのもの。社内外トレーニングコースのほか、ナレッジ・フェア(社内、社外の知見を共有して、バリューアップに貢献するイベント)、ハイタッチ・セッション(第一線で活躍している「その道のプロ」を招へいし、新しい視点や気づきを与えてもらうイベント)、PoV Olympic(プロフェッショナル個人が持つ視点をストーリーにまとめて、互いに品質を磨くプログラム)、シェアリングデー(年2回開催。全社員が戦略をシェアする会議と懇親会)を用意している。

 KMシステムはKMデータベース、外部情報ソース、プロジェクト・サイト、コミュニティ・サイト、ナレッジ・ポイントで構成する。その中で核となるのが、KMデータベースである。KMデータベースはシングルインプットで社内ポータルに一元化。プロジェクトのデリバリとも完全データ連動しており、「リレーション→提案→デリバリ→クローズ」というコンサルティングビジネスのサイクルで生じるデータやパフォーマンスを一元管理する。検索をかけやすい仕組みになっており、再現性および共有性高い仕組みになっている。

 プロジェクト・サイトとはプロジェクトごとに立ち上がる情報サイトで、プロジェクトメンバーが活用するためのサイトである。コミュニティ・サイトとは、社員がコミュニティを作って立ち上げたサイトである。社内でいちばん大きいコミュニティがPLコミュニティである。同コミュニティにはシステム開発などのプロジェクトリーダー(PL)が参加し、PLとしてバリューを上げる情報をインプットするだけでなく、フェイス・ツー・フェイスの活動も実行することで、価値創造につなげている。

 ナレッジ・ポイントとは「こんな情報が欲しいがどこにあるかわからない」という問い合わせに対して、スタッフが情報検索してそのありかを教えるサービスである。

 当社ではプロジェクトの最終成果物をサニタイズ(個人情報や公開していない数値などを消すような処理を施すこと)してKMデータベースに登録する。中間成果物は基本的にプロジェクトメンバーのみしか閲覧できないが、参考になる中間成果物もサニタイズしてKMデータベースに登録、共有している。KMデータベースに登録されているプロジェクト成果物は、ダウンロードしてそのまま再活用するようなことはほとんどない。経験のないプロジェクトにアサインされたコンサルタントが、勘所をつかむために似たようなプロジェクトの成果物を参考にしたり、中途入社のコンサルタントがどんな成果物を作るのかを調べたりするために使っている。

 プロフェッショナル人事は能力開発のステップ(「なりたい姿」→「知識をつける」→「実践する」→「成功する」→「習慣化する」)の具現を支援している。IPDPは年度の始めに作る個人能力開発プログラム。3年後のなりたい姿をイメージし、各人が年間の能力開発計画をプランニングする。そして実際にプロジェクトを実施し、習慣化されたかどうかを評価する仕組みが、CDF(Capablitity Development Framework)だ。また組織への貢献度は貢献度評価という仕組みを用意。仕事やキャリアにおける迷いや相談への対応としてはコーチングを用意してある。このようなプロフェッショナル人事制度があることで、自らの目標とそこに向けてのアクションを明確にすることができる。また、どこまで来たかのステータスを可視化することで、「今何を学べばいいのか」「つぎに何を経験すればいいのか」ということを自ら検討することができる。そして、成長を実感すると共に次のステップへのモチベーションを高めていくことができるのである。

 もうひとつ成長に活力を与えるものとして重要なのが、いろいろな人とのコラボレーションである。コラボレーションを促進するための仕掛けとして、

  • 組織(マトリックス/プロジェクト)
  • デジタルオフィス(いつでもどこでも誰とでも)
  • オペレーションシステム(ビジネス遂行上の全社共通プロセス)
  • ダイバーシティ(多様性:イノベーションの起爆剤)
  • 外部団体参画(自分とは異なるナレッジを持つ人とのネットワーク構築)

がある。このようにラーニング・プログラムを回していくことだけではなく、環境を使いこなしていくことがポイントとなる。