中村 文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

『組織開発の基本~組織を変革するための基本理論と実践法の体系的ガイド~』
ASTDグローバルベーシックシリーズ
『組織開発の基本~組織を変革するための基本理論と実践法の体系的ガイド~』
リサ・へインバーグ 著 / 川口 大輔 訳 / ヒューマンバリュー / 2,940円(税込) / 222ページ

 個人に焦点を合わせる人材開発に対し、組織全体に焦点を合わせるのが組織開発。日本ではまだまだ組織開発という言葉も浸透していないが、グローバルのHRの世界においては基本中の基本である。本書によると組織開発とは「組織がゴールの達成に向けて、様々な側面をアライメント(整合性が取れている状態)できるよう支援する、意識的かつ計画的なプロセス」である。

 本書では、組織開発とは何か、その理論的背景、また組織開発を行うためにはどのようなスキルが必要かなどの基本的なことを紹介した上で、具体的にどのようなことを行うのかを述べている。アプリシエイティブ・インクワイアリー、ブリッジズのトランジション・モデルといった基本理論やコーチングの基礎も紹介されている。

 人材開発担当者は課題に対して研修という解決策、労務担当者は労務的な観点からのアプローチ、というように、自分の得意分野・専門分野からの視点に偏りがちな傾向はないだろうか。組織開発の観点では「ゴールの達成に向けて、様々な側面」からシステマティックにアプローチしていく。あくまで本シリーズは基本を学ぶ入門書の位置づけであるため、この本を読めば組織開発を担当することができるというほどの知識・スキルが身につくというわけではない。しかし、世界では共通言語となっている組織開発とは何かを知り、その考え方のフレームワークを自己の業務にあてはめてみて、ギャップを見つけるのに良いであろう。

関連図書

『学習する組織 ―― システム思考で未来を創造する』
ピーター・M・センゲ 著 / 枝廣 淳子、小田 理一郎、中小路 佳代子 訳 / 英治出版 / 3,675円(税込) / 584ページ

『組織開発ハンドブック―組織を健全かつ強固にする4つの視点』
ピープル・フォーカス・コンサルティング 著 / 東洋経済新報社 / 2,520円(税込) / 241ページ