吉岡太郎
株式会社エイチ・アール・ディー研究所 取締役

 日経ビジネスセミナー「人材開発のプロ養成講座2012年秋」のテーマは、“ゆとり教育世代”のグローバル人材育成と題し、「21世紀型スキル」「自ら考え、行動する」「“教えない”研修」などのキーワードで読み解く新人/若手育成の新潮流を取り上げます。それに先立ち、講座内でご紹介する事例の一部をご紹介していきます。

 第一回は、「富士通グループIT教育の最先端をHPI(Human Performance Improvement)で解く」にご登壇いただく富士通ソーシアルサイエンスラボラトリの高橋浩也氏に、“教えない”新人研修についてお伺いしました。IT業界での革新的な取り組みについてご紹介します。

3年後には一人前になれる“コレ”という技術がわからない

吉岡:まずは、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリという会社のご紹介からお願いします。

高橋:当社は1972年に設立し、今年で40周年を迎えました。富士通グループの一員として、ソリューションとシステム開発を柱に事業を展開しています。ソリューション事業では、自社ソリューション商品群を「PoweredSolution(パワード・ソリューション)」として、あらゆる業種のお客様に幅広く提供しています。また、官公庁・自治体・キャリア系などのお客様を中心に、長年培ってきた技術力を活かして構築したシステムを提供しています。従って、入社して技術者としての道を歩む社員が大半で、プログラマー、システムエンジニア、プロジェクトマネージャーとキャリアを積んでいくことになります。

吉岡:ここ最近の会社の戦略やビジネスの方向性について教えてください。

高橋:最近ですと、「クラウド」「モバイル/スマートデバイス」「ビッグデータ」への対応、というのがキートピックになっています。当社は富士通と連携し、その基幹部分の開発も行っていますし、自社ソリューションも「クラウド」などへの対応を進めています。また「OSS」に関しても早い段階から取り組んでおり、OSSの技術向上とOSS技術者の育成に取り組んでいます。ただ、これは単に“最近”のトピックというだけです。IT技術の世界はどんどん変化していますからね。その変化のスピードが年々早くなり、技術者としてはどんどん新たな技術を勉強し、対応し、活用しなければならなくなってきた、というのがここ5年、10年の傾向と言えます。

吉岡:そうすると、新人研修のテーマとしても、新たな技術への対応、がポイントになってくるのでしょうか?

高橋:もちろん、部署にもよりますが、その部署の先輩たちも新たな技術を習得していかなくてはならない、という環境の中で、正直なところ「まず“コレ”から勉強すれば、3年後には一人前に“使える”技術者になれる」という“コレ”という技術は誰も教えられないのです。なぜなら、その技術が3年後、業界で、当社で、通用する技術かどうかは誰にも分からないのですから。

株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ
高橋 浩也(たかはし・ひろや)氏
ビジネスマネジメント本部 人材開発部 主任
2002年、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリに入社。最前線のシステムエンジニアとして、流通系企業の基幹システム構築プロジェクトなどに携わる。2005年より、ビジネスマネジメント本部 人材開発部において、主に若手の育成を担当。"自ら成長する人を育てる"をテーマに取り組んでいる。2012年、CompTIA CTT+ (Class Room Trainer)を取得、グローバルな方法論による人材育成には定評がある。