吉岡:いち早くと言うのは、それをどのくらいの期間で、という感じでしょうか?

乾:6~7年前までは「2~3年で一人前に」というような認識でした。しかし、どんどん期間が短くなっています。マンスリーレポートの内容から見ると、最近では「1年で一人前」どころか、「半年で一人前」くらいになってほしいというような周囲からの期待を、新人自身が感じているようですね。

吉岡:そうですか、つまり、現場の期待感としては、半年から1年で「育成期間」から卒業ということですね。

乾:そういうことになります。しかし、育成、という場面においては、現場の社員は教えてあげたいという思いはあるのですが、新人を手取り足取り教える時間が減っているのも現状です。ですから新人には、受け身で教えてもらうのではなく、自分で情報を取りにいく主体性と積極性がないと、戦力になるまで時間がかかってしまう、そういう課題意識があります。

インプット型の講義が多いと、新人は考えなくなる

吉岡:即戦力、主体性、積極性といったキーワードが出てきましたが、新人研修での目標は?

乾:目標は、主体的に、自ら考え、動いていける新人。講義中心、つまりインプット型の新人研修から、それらを段階的に減らしつつ、この5~6年は実践型へと試行錯誤をしています。ただ、根底の部分は変えていません。求められている像に向かって、新人が自分でPDCAを回していけるというところまでは、できるようになっていると思います。

吉岡:講義を減らされているんですか。でも、現場としては、しっかり教えて、早く一人前に、というのが期待であると理解していましたが…。

井上:いえ、むしろ逆なんです。インプット型の講義が多いと、新人が自ら考えることをしなくなってしまいます。インプットを減らせば減らすほど、新人は自分で考えるようになるというのが、ここ数年の取り組みの実感です。

乾:また、個を活かすということも大事にしています。人財戦略として、お客様の多様性に対して、我々も多様性のある人財をもって価値を提供していきたいと考えており、多種多様なバックグラウンドの人財を採用しています。学卒だけでなく、院卒、様々な専攻、外国籍といったバックグラウンドの異なる新人に対して、「皆が成長できるように」「個人の強み/弱みをつかみ、強みを生かして、弱みは底上げする」ということをメッセージとして伝えています。

井上:ただ、グローバルな新人を採用することで、コミュニケーションの問題には気を付けなくてはならないと感じています。例えば講義のスピードも、つい日本人のペースで進んでしまうと、彼らは言葉の壁で自信を無くしたりしてしまう場合があります。特に日常会話に問題がないレベルの社員の場合、専門分野の話などが理解できていなくても、周りも気づいてあげられないのです。そうすると本人は一人でプレッシャーを抱えてしまうことになります。もう少し日本語が苦手ならば、他の新人も気が付いてサポートしあったりできるのですが、日本語が流暢なために、ついサポートが手薄になってしまうのです。その点は、特に今後、配慮が必要だと感じています。