吉岡:自ら考え、行動でき、早期に一人前、しかも、個人の強みを活かしながら…というのは本当にそれができれば、相当なレベルに思えます。でも、例えば入社の時から、みなさん積極的だったりするのでしょうか?

乾:質問はよくしますね。でも、その内容は、「どこまでがOKで、どこからがNGか」というものが多いです。ダメだったら、それに従いますという。私は聞かれたら「じゃあ、あなたはどう思いますか?」と逆に問いかけるようにしています。それから、フィードバックを非常に欲しがりますね。「なぜ自分が採用されたんですか?」「なぜここに配属されたんですか?」とか。やっぱり、教えてもらいたいんでしょうね、いろいろなことを。

会社のことを知るための「会社説明会」プロジェクト

吉岡:行動の「安全地帯」を示してほしい、示されれば従います、という傾向は強くなっているようですね。その傾向に対して、「枠から自ら飛び出そうという気概はないのか!」とか「とんがった新人がいなくなった」という嘆きの声もよく聞くようになりました。

乾:実は、海外で採用した日本人にもその傾向が見られるのです。「自ら日本という枠を飛び出した」人財としての期待感もあったのですけれど。しかし、今思えば、日本の常識を教えてほしいという気持ちがあったのかもしれません。「日本の企業の常識はよく分からないけれど、決まったやり方でやらないといけないのでは?」「最低限のルールは何?」という不安があったのかもしれませんね。こちらとしてはそれらも含め、自分で考えられるようになってほしいわけですが…。

吉岡:海外組も含め、「特別な人」が入社してくる、というわけではなさそうですね。

井上:はい。他社様の新人と比べるのはなかなか難しいですが、標準的なのではないでしょうか。もちろん、毎年のキャラクターというか、その年の個性というのはありますが。

吉岡:さて、そんな標準的な皆さんを、どのように「自ら考え、行動する」までに育てていらっしゃるのですか?

乾:ここ数年は学生向けの「会社説明会」のプロジェクトを任せています。

吉岡:それは、会社のことをよく知り、また、説明できるレベルにするために、プレゼンテーションとしてまとめさせる、ということでしょうか?導入研修の期間は1カ月、とお伺いしていますが、その締めくくりとしてプレゼンテーションを披露する、という感じですか?最終プレゼンテーションは、役員の方なども出席されるのですか?

乾:いえ、違います。本当に次年度の新卒採用の学生向け会社説明会の場を、新人たちで運営させます。もちろん会社説明のプレゼンテーションも、学生の前で実際に行うのです。また、それが「最終」になってはPDCAになりませんから、説明会の時期は毎年おおむね4月の第3週です。

吉岡:えっ、そういう「設定」ということではなくて、「実際に」ですか?たった3週間で、会社のことをよく知るところから始めて!?しかも、インプット、つまり教え込む量はどんどん減らされているというお話でしたが…。

乾:はい。難しい仕事を任せられるとプレッシャーはありますが、嬉しいですよね。だから、新人も本物の仕事を任せられたら、頑張って取り組むだろうし、達成できたら自信がつくのではないかと思いました。

前編はここまでです。実際の具体的な取り組みは11月9日、人材開発のプロ養成講座2012秋、会場にて詳しくお話しいただく予定です。

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