サイバーマニュアルにより赤字体質を改善、顧客も獲得

 サイバーマニュアルは必然から生まれた。1990年に社長に就任したとき、当社の顧客はNEC1社のみ。NECの無線事業部の下請けだった当社は、仕事のピークが過ぎると赤字が出る体質だった。私が就任した当時は、CDMAの導入で仕事も非常に忙しかった。しかし、伸びている分野であるため競争も激しく、仕掛品勘定も発生した。ピークが過ぎると、その仕掛品勘定を整理しながら新しい仕事を探すことになる。これが非常に難しいため、それを部外整理してしまうことになり、税引き後赤字になってしまっていた。

 しかも先述したように、エンジニアリングサポートはデジタルの脅威とともに不要になっていく。「常に将来が不安」ということを払拭するには、なににつけても創意工夫できるような企業文化をつくらねばならなかった。また当社は当時NEC向けの派遣を主としていたが、そのような大手の下請けではいつまでも食ってはいけない。下請けから脱却するには自ら顧客を獲得するしかない。最大の課題は、古い体質と赤字体質をいかに改善するかであった。そこで信条を大切にしながら、躊躇せずに枠組みを変えることに取り組もうと考えた。

 そのため、新たに取り入れた当社の経営プラットフォームとして挙げられるのが、先述したサイバーマニュアルに加え、TimedPDCA、PF-Vという3つのオプティマイゼーションウエアである。当社はこれまで忙しく働いてはいるが、なかなか売上が上がらない現象が起こっていた。Sales Funnel(案件の漏斗)である。それを改善するため、時間を追いかけてPDCAをまわす仕組みをつくった。それがTimed PDCAである。またPF-Vは「Secure remote computer access utility」のことで、世界中どこにいてもオフィスにいるかのごとく仕事ができる環境を構築している。

 これらのオプティマイゼーションウエアにより、インタビュー→情報を評価→フィードバック/フォローアップ→セールス→情報分析→インタビューというようにぐるぐるとPDCAを回す働き方ができるようになる。ベテランの社員は新しい技術を身につけたり、新しいお客さんに会いに出かけたりする。またその間に若手は、サイバーマニュアルを見ることでその穴を埋めることができる。つまり新陳代謝がスムーズにできるようになった。

 とはいえ、既存の仕事だけでは頭打ちで、時間の経過とともに仕事量も売上も減っていく。ではどうやって新しいビジネスを開拓するか。そこで活用したのが、自社のコアビジネスを中心に隣接領域を拡大・強化する経営戦略「Beyond-the-Core」ストラテジーである。まず自分たちのビジネスの居場所を知り、コアビジネスを見極め、新しい分野を開拓していくのである。同戦略の正しさはクリス・ズックの著作「Beyond-The-Core」にも書かれていることでも明らかだ。

 つまり当社は、

方向:サービス業への転換
使命:最適と最適化の提供
戦略:隣接領域を狙え
手段:見える化

というビジネスコンセプトを実施により、既存の体質から脱却を図ってきたのである。