佐藤 雄一郎
学校法人産業能率大学総合研究所 マーケティングセンター長

 今回は、「通信研修に関する実態調査(2012年度版)」をもとに、人材育成担当者の視点からみた、自社における3年前と比較した人材育成の効果について整理していきます。設問は以下の12項目です。

  1. 現在の仕事で必要な知識の習得レベルが向上している
  2. 社会人として求められる基本的な能力や態度(マナーや主体性、報告・連絡・相談など)が向上している
  3. 社外でも通用する専門性(専門的な知識やスキル)が向上している
  4. ビジネススキル(企画力・文章力・プレゼンテーション力など)の習得レベルが向上している
  5. 組織から期待される役割を認識している
  6. 管理職のマネジメント力(仕事の管理・人の管理やマネジメントスキルなど)が向上している
  7. コンプライアンスやリスクマネジメントへの意識が高まっている
  8. 上司・部下・同僚など周囲とのコミュニケーションが活性化している
  9. 従業員に対して自社・自組織の理念・戦略・方針などの理解が促進している
  10. 資格取得をした人の割合が増えている
  11. 従業員全体のモチベーションが向上している
  12. 学習に対する取組みに積極的になっている

 この設問は4段階評価(1「当てはまらない」、2「やや当てはまらない」、3「やや当てはまる」、4「当てはまる」)を用いています。データの見方として、1~4それぞれの回答割合を見るとともに、肯定的回答割合(3「やや当てはまる」と4「当てはまる」の合計)を見ていきます。加えて、便宜的に、1「当てはまらない」を1点、2「やや当てはまらない」を2点、3「やや当てはまる」を3点、4「当てはまる」を4点として、全回答を加重平均して、平均値を確認する方法もあります。値は1~4の間なので、中央値が2.5になります。2.5を上回れば肯定的、2.5を下回れば否定的な傾向であるといえます。

全体結果として、以下のようにまとめられます。

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 3年前との比較において、特徴的な点として挙げられるのが「7.コンプライアンスやリスクマネジメントへの意識が高まっている」について。“当てはまる”が36.3%と他の項目を大きく引き離して高い結果でした(平均値3.1:各回答の比率の図参照。以下同)。その他、肯定的な回答で目立ったのは、「5.組織から期待される役割を認識している」(平均値2.9)、「1.現在の仕事で必要な知識の習得レベルが向上している」(平均値2.9)、「9.従業員に対して、自社・自組織の理念・戦略・方針などの理解が促進している」(平均値2.9)、「10.資格取得をした人の割合が増えている」(平均値2.9)でした。特に、 「10.資格取得をした人の割合が増えている」については、“当てはまる”と回答している割合が比較的高かく、26.3%と4分の1を超えています。