中村 文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

『ワーク・シフト-孤独と貧困から自由になる働き方の未来図』
リンダ・グラットン 著 / 池村 千秋 訳 / プレジデント社 / 2,100円(税込) / 402ページ

 2025年の未来の世界において、人々がどんな環境・状況にあり、どんな仕事観を持ってどう働いているかを描いている。著者によると、今の私たちの社会は18世紀後半から19世紀前半にかけての工業化への変化、産業革命以来の大きな変化の過渡期にあるという。この大きな変化が起こっていることについては、これまでにも紹介したコトラーの「スペンド・シフト」や「マーケティング3.0」、ダニエル・ピンクの「モチベーション3.0」などでも、同じ流れを感じる。

 大きな変化を迎えるとき、それに受け身的になるのか、あるいは主体的に向かっていくのかによって、その先にあるものは自ずと変わってくる。これは何についても言えることである。歴史の1ページに大きく刻まれるような変化が起こっているのであれば、その中で組織を創る役割を担う人事担当者に求められることは何だろうか。世界が24時間いつでもどこでもオンラインで、テクノロジーも人もどんどん境界線がなくなる中、日本の、日本企業の、日本の人材の競争力を高く維持し続けるには何をすべきなのだろうか。

 本書は仮想の人物の2025年を描く形の展開で、個人として主体的に未来を築くために何ができるかを問いかける刺激的な内容になっている。人事担当者としては、そのような未来にどう主体的に組織を導くかを考えたい。2025年。ずいぶん先のように聞こえるが、ほんの13年後である。例えば人事制度を大きく改革するのに、最初の企画段階から実行段階まで何年くらいかかるのかを考えたとき、13年後というのはそれほど「遠い未来」ではないのではないだろうか。