一口にマンネリ感といっても、大別して2つのマンネリ感が存在します。

 一つは「目的のマンネリ感」。この場合、いくら演出方法を小手先で変えたとしても、参加者の心理は大して変わらないでしょう。逆に、人は意味を感じることに対しては、ルーティンであってもマンネリ感は覚えないものです。まずは目的から考え直して、イベントの意味づけを定めることが重要です。

 もう一つが「手法のマンネリ感」。イベントを多頻度で実施している組織の場合、どうしてもこの状態に陥りがちです。イベントの演出手法・企画のバリエーションには限りがあり、さらに実施時のさまざまな制約(予算や会場、時間、準備の工数)によって、導入できる手法には限界が生じます。それらの制約や限界を踏まえたうえで、マンネリ感を払拭する手段を講じることが重要です。

 では具体的にどんな方法があるのでしょうか。まず、イベントを「目的」から見直す方法から見ていきましょう。社内イベントは何らかの組織の課題を解決するために行うもの、というのは既に述べた通りです。つまり、自社の組織課題を見つめ直し、その解決に繋がるイベントを企画・設計することがポイントです。

自社組織のステージを意識する

 どんな商品にもライフサイクルがあるように、企業組織にもライフサイクルがあります。組織のライフサイクルをステップで切ってみると、「試行期」→「拡大期」→「多角期」→「再生期」→「試行期」…と変遷していきます。そしてそのライフサイクル毎に、(まるで人の成長に伴ってリスクが高まる成人病のように)典型的に起こりうる組織課題のパターンがあります。イベントの目的をその組織課題(病状)への対応措置として、もしくは予防措置としての実施とおくことによって、形式ではない意味のあるイベントが実施可能です。

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 例えば、「試行期」であれば、新しい事業を軌道に乗せるために様々な試行錯誤、臨機応変な対応がされています。もちろん必要不可欠な対応ですが、一方で様々なルールの整備が追いつかない状態(ルール不全症)に陥りがちです。自社がこのフェーズの場合には、トップからのメッセージ発信の内容に“ルール”や“モラル”といったメンバーが忘れがちな観点を込めることが効果的になってくるでしょう。

 組織が「拡大期」に入ると、急激な業務拡大に伴うサービスクオリティの低下や組織内の連携、マネジメントの複雑性の増加による業務効率の低下など、様々な歪みが顕著になってきます(マネジメント不全症)。またこの頃から、ベテランメンバーと新規加入メンバーの経験差、共通体験の差から温度感に差異が現れ、様々な判断にブレが生じやすくなります(判断基準喪失症)。したがってこの時期には、いかにコミュニケーションの結節点となるマネジャーを機能させるか、が鍵となります。イベントにおいても、トップからのメッセージ発信だけでなく、マネジャーを中心としたイベントの仕立てが効果的な手法となります。例えば、トップから全体へのメッセージを発信するイベントの後にマネジャーを中心とした分科会を設定する、マネジャーの底上げをはかるためのイベントを実施する、などが考えられます。

 組織が「多角期」になると、事業や組織の多様性が増す一方、組織全体としての一体感や求心力が急速に失われていきます。経営の想いや方針が伝わらず、会社や他部署のことに無関心な社員が急速に増えてくるのもこの頃です(アイデンティティ喪失症、セクショナリズム横行症)。この時期には、今一度会社組織のビジョンの共有をはかり、社員同士のコミュニケーション機会を強制的に創ることが重要になります。当然、イベントの内容や仕立てもそこを重視したものにする必要があります。

 「再生期」の組織の場合、最も重要なのは経営とメンバーの信頼関係の再構築です。このフェーズでは、多くの企業が事業や人事制度のリストラクチャリングを実行します。その際、リストラの成否には、実際に影響を受けるメンバーのモチベーションが大きく左右します。イベントの機会を利用して、何のためにリストラや業務改革、人事制度の改定を行うのか、その上で何を目指していくのか、といった論理・理屈だけではなく、共感に訴える情理を伝えることが重要です。まず、固まってしまっているメンバーの心理状態を解凍させること。このステップを踏むことなくして、事業や組織の再生は不可能です。

 このように、明らかに「試行期」「拡大期」「多角期」「再生期」の組織では、解決すべき組織の課題が違います。しかし、社内イベントの形式や内容は以前とまったく変わっていないというケースも多く見られます。そのような企業組織のイベントは、多くの場合マンネリ化してしまっています。

 自社の現状の組織フェーズを意識すること。移行しつつある場合は一歩先のフェーズで起こりうる問題を意識すること。こうした意識を持つことで、イベントの目的や内容もおのずと見直すことができるようになってきます。